「R-1」「ヤクルト1000」 各社の乳酸菌飲料の効果を徹底比較 目的ごとのオススメは?

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 オミクロン株にせよ、肺炎にせよ、だれもが望むのはかかりにくい体、かかっても大丈夫な体だろう。その点で注目され、製品が百花繚乱なのが乳酸菌関連の飲料である。でも、どれをどう飲むのが自分にはいいか、迷う人は多い。第一人者がすみずみまでガイドする。

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〈乳酸菌関連の飲料が注目され、新製品も続々登場している。人気の理由は明らかで、腸の健康維持が免疫力向上のカギだというからである。

 新型コロナはもとより、例年、高齢者に大きなリスクをもたらす肺炎を防げるかどうかも免疫力勝負。ほかにもアレルギーや花粉症を防ぐためにも、がんを予防するためにも、乳酸菌が効果的だといわれるようになった。

 しかし店頭には数々の製品が並んでいる。どの製品がいいのか。自分が求める効果はどれをどう飲めば得られるのか。乳酸菌研究の第一人者、齋藤忠夫氏が、かゆいところまで手ほどきする。〉

 ひと口に乳酸菌飲料と言っても、いくつかの種類に分かれます。たとえば多くの人が思い浮かべると思われる「1073R-1ヨーグルト」と「ヤクルト」。厚生労働省が規定する「乳等省令」に従えば、「1073R-1ヨーグルト」は「発酵乳」で「ヤクルト」は「乳製品乳酸菌飲料」と、二つの種別は異なります。

 大別すると、いま挙げた二つに「乳酸菌飲料」を加えた3種類があって、そこからまた、乳製品乳酸菌飲料が殺菌されたものと殺菌されていないものに分かれるなど、さらに細分化されます。殺菌された乳製品乳酸菌飲料の代表例が「カルピス」です。

「無脂乳固形分」と「乳酸菌数」

 では、どのようにして3種類に分けているのか。基準のひとつに「無脂乳固形分」と「乳酸菌数」があります。原料となる乳はおよそ9割が水分で、脂肪分が4%、乳糖が4.5%、タンパク質が3%程度。無脂乳固形分は、乳から水分と脂肪分を除いたもので、タンパク質や乳糖やミネラルで構成されています。

 発酵乳は無脂乳固形分が8.0%以上で、乳酸菌や酵母の数は1ミリリットルあたり1千万個以上と決められています。一方、乳製品乳酸菌飲料は無脂乳固形分が3.0%以上で、乳酸菌と酵母の数は1ミリリットルあたり1千万個以上。乳酸菌飲料は無脂乳固形分が3.0%未満で、乳酸菌と酵母の数が1ミリリットルあたり100万個以上です。

 3種類のどれに当たるかは、商品ラベルの裏側に表記されていますが、実際に飲んでも、無脂乳固形分が3%ほどのヤクルトは飲みやすく、8%を超える1073R-1は、固形分が多いと感じると思います。

 ただし、発酵乳の固形タイプと飲用ヨーグルトの間には、大きな違いはありません。R-1は両方が商品展開されていますが、乳酸菌の種類や菌数、効果や効能に差はありません。固形タイプはカップに充填した時点では液体で、発酵室で加温発酵させたのちに固形になります。一方、飲用タイプは大きなタンクで固形ヨーグルトを作り、それをかき混ぜて液状にし、香料などを加えて容器に充填して作ります。

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