捕虜になれば「死ぬより苦しい拷問」が 元傭兵が語る「日本人義勇兵」を待つ運命

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 2月27日、ウクライナのゼレンスキー大統領が志願者による外国人部隊の編成を表明すると、70人の日本人が名乗りを上げ、政府が「不参加」を呼び掛け鎮静化を図る一幕も。傭兵としてアフガニスタンなどで戦った経験を持つ軍事ジャーナリストによると、義勇兵を待ち受けるのは過酷な運命だという――。

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「ロシア軍の侵攻による惨劇を目にして、ウクライナのために立ち上がろうとの思いで、義勇兵に志願した人たちの気持ちは痛いほど分かります。その心意気は素晴らしいものですが、果たして彼らが義勇兵を待つ過酷な現実をどれほど理解しているのかは疑問です」

 こう話すのは、旧ソ連の軍事介入で泥沼化に陥ったアフガニスタン紛争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争などに傭兵として参戦した経験を持つ、軍事ジャーナリストの高部正樹氏だ。

 2月27日、ウクライナのゼレンスキー大統領が志願者による外国人部隊の編成を表明すると、在日ウクライナ大使館も同日、SNS上で義勇兵を募集。元自衛官などを中心に70人の日本人が瞬く間に名乗りを上げ、慌てた政府が「不参加」を呼び掛けて騒ぎの鎮静化を図る一幕もあった。

「日本でアルバイトした方がよっぽど稼げる」

 しかし欧州を中心とした各国からすでに2万人の義勇兵がウクライナに参集し、その動きは今も世界各地で盛り上がりを見せている。

「はっきりと言えるのは、義勇兵として戦地に入ったとしても、お金がもらえることも、ケガに対する保険や補償もないということ。私の場合、アフガニスタンで戦っていた時の報酬は月にして8千円程度。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の時でも月3万円程度と、日本でアルバイトしたほうがよっぽど稼げるレベルでした。イラク戦争時、民間軍事会社に雇われた傭兵の日給が10万円にのぼることが話題となりましたが、あれは仕事の発注元がアメリカ政府であったために起こった一過性のバブルに過ぎません」

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