捕虜になれば「死ぬより苦しい拷問」が 元傭兵が語る「日本人義勇兵」を待つ運命

国際

  • ブックマーク

Advertisement

死ぬより苦しい拷問

 さらに義勇兵や傭兵は“外国から自らの意思でやって来て敵に味方する奴ら”と見なされ、ひとたび捕虜になれば「死ぬより苦しい拷問」が待つ運命にあるという。

「ボスニア紛争の時、アメリカ人の兵士が捕虜になり、しばらく経って捕虜交換で部隊に戻ってきたことがありました。しかし、変わり果てた姿に思わず言葉を失った。彼はまだ20代後半だったのですが、髪は真っ白になり、歯は全て折られ、まるでおじいちゃんのように一気に老け込んでいたのです。どれほど凄まじい拷問を受けたのか、想像するだけで身の毛のよだつ思いでしたが、詳細はとても聞けませんでした。敵の手に落ちた外国人兵士の末路はたいてい悲惨なものと相場は決まっています」

人道的な扱いを受ける保証は一切ない

 そのため高部氏の周りの傭兵仲間は皆、ポケットに自決用の小銃の弾を忍ばせていたという。相手が国際法を無視してウクライナを蹂躙するロシア軍であれば、捕まった義勇兵が人道的な扱いを受ける保証は一切ないと考えたほうが自然だ。

 3月7日、外務省はロシア全土を「渡航中止勧告」とし、すでに危険度で最高レベルの「退避勧告」を出していたウクライナと併せ、事実上、渡航を禁じる措置を取った。

 しかし、「要請を無視して今後、第三国経由などでウクライナ入りする日本人の動向に注意を払っている」(警察庁関係者)と、政府はいまも日本人義勇兵の出現に警戒を怠っていない。

 陸上自衛隊3等陸佐(予備自衛官)で弁護士の田上嘉一氏はこう話す。

「義勇兵の募集に応じ、さらに準備を進めた場合、国家意思に依らない私的な戦闘行為を禁じた刑法93条『私戦予備・陰謀罪』に問われる可能性は否定できません。2019年に過激派組織イスラム国に加わろうとした北海道大学の学生らが私戦予備容疑で書類送検されました。結局、不起訴となりましたが、実際に戦場に赴くための準備などを行うだけで、同法に抵触する恐れがあるのです」

 法と倫理のはざまで揺れる、日本人の覚悟も問われている。

週刊新潮 2022年3月17日号掲載

特集「『プーチン』破滅へ」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。