もし17万人のロシア軍が北海道に侵攻したら…音威子府村で第2師団は全滅、第2のノモンハン事件という現実

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第7師団の実力

 前出の軍事ジャーナリストは、かつて第2師団の関係者に取材をしたことがあるという。

「自分たちが壊滅状態になるという前提は、第2師団の誰もが共有していました。実際、壊滅後についても指示が出ていました。第2師団が配置されている旭川市は、春先ならギョウジャニンニクが自生します。第2師団の自衛隊員は誰もが、『自分たちが壊滅してもゲリラ兵となり、春なら自生しているギョウジャニンニクを囓り、1日でも生き延び、1人でも多くのロシア兵を殺す』ことが重要だと理解していました」(同・軍事ジャーナリスト)

 第2師団が“捨て石”ならば、本格的反撃の役割を担っていたのが千歳市に配置されている陸上自衛隊第7師団だ。

 音威子府駅からJRを使えば、千歳駅までは約4時間半となる。

「そもそも自衛隊の第7師団の歴史は、北海道をロシアから防衛する任務を担っていた屯田兵を母体とし、明治29(1896)年に編成された旧日本軍の第7師団を前身とします。第7師団は特に冷戦下、『陸上自衛隊で唯一の機甲師団』として知られていました。重戦力によってロシア軍に打撃を与えることを期待されています。第2師団が捨て石となって時間を稼ぐ間、第7師団が本格的反攻を担い、アメリカ軍の到着を待つというのが基本的な作戦プランというわけです」(同・軍事ジャーナリスト)

自衛隊の意外な弱点

 今回のウクライナ侵攻で、「ロシア軍は意外に弱いのではないか」という指摘もある。自衛隊は今ならロシア軍に勝利できるのではないかと期待する声もありそうだが、油断は禁物だという。

「自衛隊は弾薬が絶対的に足りません。“専守防衛”の名の下、弾薬の備蓄も厳しく制限されているので、勝てる戦いも勝てないのです。第2師団や第7師団の関係者はウクライナ侵攻を注視しているでしょうが、自分たちが日本の各種法令でがんじがらめに縛られていることも改めて実感していると思います。とはいえ、それに異を唱えれば、現在でも反発する日本人が多いこともこれまでの歴史が証明しています」(同・軍事ジャーナリスト)

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