「SNSで説教と自慢」「ゲームに高額課金」 中高年を蝕む「スマホ脳」の実態

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利用明細を見て仰天

 一般的にショッピングサイトでは、カスタマーサービスで返品や交換を受け付けている。ただ、手続きにはアカウント(個人の登録情報)の確認が求められたり、メールやチャットによる問い合わせ画面が優先的に表示されたりする。操作に不慣れな高齢者には、こうした仕組み自体が難解だ。

 そもそも、スマホの利用契約自体が複雑で、端末の分割代や割引サービス、通信プランの内容が理解できないというケースも多い。

「77歳の母がひとりで携帯ショップに行き、5Gスマホとタブレット、光回線を契約した」という女性(50)は、実際の利用明細を見て仰天した。固定電話や電力会社まで変更され、有料動画配信サービスなどのオプションがセットされていたのだ。

「店員から“一緒に契約すればキャンペーンプランが適用されてタブレットは無料、光回線の通信料は半額になる”と言われたそうです。ただ、端末だけがタダでも基本料金は必要だし、通信料半額は最初の3カ月だけ。それまで月に5千円だった料金が全部合わせて2万円近くなりました」

 前出の橋詰氏のもとには、予備知識もなくスマホを購入し、後から困って相談してくる高齢者が後を絶たないという。

「スマホには昔の家電製品のような分厚い取り扱い説明書が付いてきません。契約や料金内容もWeb上で確認する方法が主流なので、“紙”になじんだ高齢者には使い勝手が悪いのです」

 おまけにIDやパスワードの設定、PINコードの入力、定期的なアップデートなどが必要だ。いざ使おうとしてもパスワードを忘れた、ロックが解除できない、うっかりアプリを消してしまった、といったトラブルも頻発している。

恋愛ゲームに夢中

 無論、スマホやネットを使いこなし、ゲームに動画、ビデオ通話などを存分に楽しむ人もいる。

 オンラインゲームで対戦する「eスポーツ」では、平均年齢69歳という秋田県内のチーム・マタギスナイパーズがプロを目指して活動中。動画投稿サイトのユーチューブでは、節約料理や洋服のリメーク、DIYなどの動画を配信するシニアユーチューバーが注目を集めている。

 総務省の「通信利用動向調査」によると、インターネットを使う高齢者のオンラインゲーム利用率(2020年)は、70代男性が5.9%、女性は5.6%。脳トレにカラオケ、漢字パズル、歴史クイズなど、高齢者向けのゲームアプリも次々に登場している。

 夫婦二人暮らしの女性(66)は、キャラクターを自分好みに育成し、仮想空間でデートする恋愛シミュレーションゲームに夢中だ。

「ドラマチックな展開にときめいて、つい熱くなっちゃう。キャラクターの衣装やデートのお店で使うコインが必要なので、月に1万~2万円は課金してます。ゲームを通じて知り合った人と深夜までチャットで交流すると、さすがに疲れて家事ができない。主人には散々叱られてるけど、逆に憂さ晴らしで、もっとゲームをしたくなるんです」

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