「SNSで説教と自慢」「ゲームに高額課金」 中高年を蝕む「スマホ脳」の実態

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SNSで説教と自慢話

 一方、フェイスブックでは共通の友人や会社名、出身校などの登録情報をもとに「知り合いかも」と自動表示されることがある。利用者同士を結びつける機能だが、「つながりたくない人が表示される」と困惑の声も少なくない。

 食品メーカーに勤務する男性(45)は、退職したかつての上司からの「友達申請」を断れなかったという。

「友達になると、お互いの投稿へのコメントや個人間のメッセージ交換ができます。元上司は私の投稿にいちいち絡んできて、仕事の進捗状況を批判したり、今どき通じない根性論を振りかざして説教が始まったりする。“自分は5年連続トップセールスで社長表彰だ”と昔の自慢話までされて、本当に迷惑ですよ」

 都内で高齢者向けのスマホ教室を開催する、NPO法人「竹箒の会」の橋詰信子副理事長は、「高齢者のSNS利用は、若者とは違った注意が必要」と指摘する。

「SNS上のコミュニケーションでは、互いの表情や仕草、声色がわからない。ニュアンスを伝えたり、相手との距離感を測ることが難しく、真意とは違った解釈をされることもあります。特に高齢者は、かつての井戸端会議の延長で噂話を広めたり、これまでの経験からくるプライドで偉そうなことを言ったりしてトラブルを招きやすいのです」

60歳以上の相談件数は34万件

 SNSを利用しなくても、スマホが原因で高齢者が思わぬ事態に巻き込まれることは少なくない。身近なところで気を付けたいのがネットショッピングだ。

 たとえば、〈今ならお試し無料〉という広告を見て健康食品や化粧品を申し込む。ところが、実際には〈定期購入の初回のみ無料〉で、意図せず商品代金を支払う羽目になったりする。

 2020年度に全国の消費生活センター等に寄せられた相談のうち、60歳以上の相談件数は約34万件に上り、このうちネットショッピングでの定期購入に関する相談は、約1万4千件と過去最多を記録した。

 定期購入などのトラブル以外にも、「うっかりミス」が起きやすい。

「ペットフードを5袋買おうとして、間違って1ダース入りを5ケース注文した」と話す女性(74)は、ショッピングカートの確認画面でミスに気づいた。

「でも、カートの中身を削除する方法がわからない。画面の文字は小さくて見えにくいし、指がすべって変なところを押しちゃうこともある。あれこれ操作してもっと注文数が増えるのも怖いから、結局、そのまま決済しました」

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