大統領選次第で文大統領は妻と共に報復対象に 韓国で第2、第3の「イメルダ夫人」が登場するワケ

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大統領候補らの配偶者を

 韓国では、豪奢な暮らしぶりで知られたかつてのフィリピン独裁者の妻になぞらえて、大統領候補らの配偶者を「イメルダ夫人」などと呼ぶ風潮がある。贅沢のレベルやエピソードの点で本家には遠く及ばないものの、1人ではなく複数のイメルダ夫人が“誕生”しているのが韓国らしいところなのかもしれない。現地在住・羽田真代氏のレポート。

 本家“イメルダ夫人”についておさらいしておこう。「ミス・マニラ・コンテスト」に出場した際に当時下院議員だったマルコス氏に見初められて1954年に結婚。その後、マルコス氏が1965年に行われた大統領選でフィリピン大統領の座を勝ち取ったため、ファーストレディとして外交に積極的に関与し、国家発展の一翼を担った。

 その一方で過度な浪費癖があり、それが国民の批判の的となることもしばしばだった。1986年の民衆革命でマルコス夫妻がハワイに亡命した際、退去した後の宮殿には約1000足の靴、800を超えるハンドバッグなどが残されていたという。

 大統領は冷戦終結の1989年に亡くなったが、彼女は存命で現在92歳。息子のボンボン・マルコス・ジュニア氏が、5月に行われるフィリピン大統領選の有力候補に名を連ねている。ひょっとしたらイメルダ夫人の大統領府への凱旋があるかもしれない。

新たな「第2のイメルダ夫人」

 他方、韓国では、フィリピンよりも一足早い3月に第20代大統領選が行われる。

 現在、大統領の座を狙って熾烈な争いが繰り広げられているが、選挙活動終盤に入って野党「国民の力」の大統領候補、尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が他の候補者よりやや優勢だ。

 そんな尹候補の夫人・金建希(キム・ゴンヒ)氏が2022年1月、「第2のイメルダだ」などと与党から批判される出来事があった。

 彼女の通話記録が流出し、そこから夫である尹候補の行動を把握して影響を与え、政治活動などにも関与している実態が明らかになったためだ。

 浪費癖への言及がないだけに「第2のイメルダだ」と大きな声で呼ぶのも憚(はばか)られたのか、指弾され始めてから1か月後の2月、新たな「第2のイメルダ夫人」がクローズアップされた。それは、文在寅(ムン・ジェイン)現大統領夫人の金正淑(キム・ジョンスク)氏だ。

 現在、韓国のインターネット上では、132パターンもの金正淑夫人の姿を集めた写真が出回っている。そこで彼女はまるでお色直しのように、洋服、韓服(韓国の伝統衣装)、特別イベント衣装と、いかにも高級そうな服を132着取っ替え引っ替えして微笑んでいるのだ。

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