大統領選次第で文大統領は妻と共に報復対象に 韓国で第2、第3の「イメルダ夫人」が登場するワケ

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税金の100分の1であっても

「夫が大統領として在任した5年、彼女はこれらの服を少なくとも国民の税金で着用した。この写真がその証拠だ」と、写真を拡散するネット民らは言う。証拠と言うのなら、購入日時や経緯を詳らかにし、その代金が税金から拠出されている事実を提示すべきかと思われるが、それは見当たらない。

 メディアの方はいくらか冷静で、「イメルダが使った国民の税金の100分の1であっても、個人的な服のために無駄遣いしたのであれば、当然処罰されるべきだ」などと指摘するに留めている。

 そんな中、第3のイメルダ候補も現れた。文大統領の後任として与党「共に民主党」から大統領選に出馬している李在明(イ・ジェミョン/前京畿道知事)候補の妻、金恵敬(キム・ヘギョン)夫人その人だ。

 彼女についても、「京畿道民に使われるはずだった予算で牛肉を食べた」「金恵敬こそがイメルダだ」などと、批判する声が上がったのだ。数か月前まで多くの支持率を獲得していた李候補が最近になって失速気味なのは、金恵敬夫人が足を引っ張っているからだともっともらしく語る専門家もいる。

李在明夫妻にも司直の手が

 尹候補が大統領選挙に勝利すれば、彼自身を検事総長の座から引きずり降ろした文大統領に報復するのはほぼ間違いないし、実際にそれを否定していない。これまで、退任した大統領が何らかの容疑で逮捕・起訴されることは度々あったから特に驚きはないが、退任を直前にして大統領夫人にもその可能性が浮上したことはかつてなかったはずだ。

 加えて、文夫妻が罪に問われるような事態になれば、李在明夫妻にも同様に司直の手が伸びることだろう。

 与党はこれまでしきりに尹候補の妻・金建希氏に対し、「第2のイメルダ夫人だ」と指弾してきたのだが、今それはブーメランとなって彼らの元に返ってきているようにも見える。

 本家・イメルダ夫人は国際的な催しにはフィリピン製の靴を履いて出席するなど、自国産業発展のために貢献した人物だったというプラスの評価もないわけではない。第2のイメルダ夫人はどれほど韓国産業に貢献しただろうか……。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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