オイルマネーによるゴルフ新設ツアーにスター選手が移籍宣言 王者タイガー・ウッズに期待されること

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ことあるごとに不満や批判

 現在、世界のゴルフ界は揺れている。いや、大揺れ直前の不気味な余震状態が続いていると表現したほうが正確である。そして、「ウッズの大会」の最終日、事態は大きく動いた。

 1990年代半ば、世界一のPGAツアーに対抗する新ツアーを創設しようという構想が浮上したことがある。このときには絵空事だと思われてフェードアウトしたものの、2020年ごろから形を変えて再浮上し、今年に入ると、「PGAツアーの多くの選手たちが新ツアーへ乗り換えようとしている」と言われるようになった。

 SGL(スーパー・ゴルフ・リーグ)と呼ばれる新ツアーの背後には、莫大なオイルマネーがある。3000万~5000万ドル、いや、それ以上とも言われる破格の移籍料をちらつかせ、予選落ちのない大会、チーム戦も交えた試合形式を提唱。PGAツアーより格段に少ない試合数をこなすだけで、効率的に大金を稼げると謡い、選手たちを勧誘している。

 ウッズと人気を二分すると言われるフィル・ミケルソンを筆頭に、ダスティン・ジョンソンやブライソン・デシャンボーといったスター選手らがPGAツアーへの不満や批判をことあるごとに口にし始めてからは、新ツアー創設とスター選手たちの移籍は一気に現実味を増していった。

「今後のPGAツアーの出方次第では」

 PGAツアーのかつての大物選手で、30年ほど前の新ツアー構想の発案者であるグレッグ・ノーマンが、サウジ資本の投資ファンド、リブ・ゴルフ・インベストメンツのCEOに就任し、アジアツアーに総額3億ドルを投資して実質的に傘下に収めたことは、新ツアー創設を目論むサウジ勢力の本気度を一層アピールする格好になった。

 欧州ツアーから共催を解かれ、弾き出されたサウジ・インターナショナルをアジアツアーの旗印大会に位置付けたノーマンは、高額なアピアランスフィーで大勢のPGAツアー選手たちを今年2月の同大会へ呼び寄せることに成功。抱き込み作戦は着々と進んでいると思われていた。

 ミケルソンはオイルマネーによる新ツアー創設が「欲深いPGAツアーが自らの体質や問題点に気づき、それらを正す二度とない好機になる」とまで言い放った。

「新ツアーに行きたがっている選手を僕は20名知っている。今後のPGAツアーの出方次第では(大量の)移籍は現実になる」

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