炎上参加者はどんな人間? 利用者の0.5%しかいない? 大規模調査で見えた意外な“素顔”とは

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「聞かない」という自由がない

 ところが、ネットの世界は情報発信力が強すぎる。誰もが誰に対しても議論をふっかけることができ、これをやめさせる方法がないのです。発言は世界中に瞬時に届き、聞きたくない人は聞かないという「自由」がない。これがネットの持つ特異な仕組みです。

 例えてみれば、以下のような状況でしょうか。講演会で突然、客席から人が立ち、政治的に極端な主張を延々と述べ始めたとします。聴衆は辟易してやめてほしいと思ってもやめさせる方法がありません。その人は会場に固定された鋼鉄の籠に入っていて、退場させようにもできないのです。1時間もその人の話が続けば、人々は呆れてその場を去り、講演会は中止になります。現実社会ではそのようなことはありえません。ところが、ネットの世界では普通に起き、ブログの閉鎖、アカウントの停止が頻発しているのです。

攻撃的なコメントばかりが目立つ構造

 これに加え、ネットの世界の問題点は、現実社会と比べ、そうした極端な意見について、その書き込み数が多くなるだけでなく、閲覧頻度までもが高くなってしまうことです。

 先ほど述べたように、そもそも政治的なテーマに関しては、ネットに書き込みをする人自体が非常に少ない。また、書き込む人も大半はツイッターで一言つぶやく程度で、そうした書き込みは、その人のフォロワーぐらいしか読みません。ユーザーの平均的なフォロワー数は、数十人からせいぜい数百人ほどなので、読む人の数もその程度にとどまります。

 しかし、激しい攻撃的コメントを繰り返す人は、正義の怒りに駆られているので、政治的テーマの当事者のツイッターやブログに直接コメントを送ることも厭いません。その当事者は大抵、著名人ですので、フォロワーや読者が数十万単位のことも多い。すると、その攻撃口調の強い書き込みを、それだけ多くの数の人が読んでしまうことになるのです。あるいは、ヘビーライターはヤフーニュースのコメント欄など閲覧者の多い大きな掲示板に書き込むことが多く、これも多くの人の目に触れることになります。

 また、ツイッターには、リツイートによる拡散機能があります。攻撃的で、感情に訴える強い文言ほどリツイートされやすい傾向にありますので、そうした発言ほどどんどん拡散されていきます。

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