北海道で立ち往生した鉄道の雪対策とは? 首都圏で起こったらどうなるか?

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 北海道札幌市では2022年2月5日から翌6日にかけて空前の大雪に見舞われ、札幌駅を発着するJR北海道の函館線、千歳線、札沼線(学園都市線)の列車は2月6日午前9時ごろから2月8日18時ごろまで全く動けなくなってしまった。何しろ2月6日15時までの24時間に60cmの降雪と札幌市では過去最多を記録したのである。このニュースは大きく報じられたのでご存じの方も多いであろう。鉄道ジャーナリストの梅原淳氏が鉄道の雪対策についてレポートする。

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 今年の冬は例年になく厳しい。鉄道も各地で雪に傷め付けられている。

 札幌市とその周辺とを結ぶ札幌圏の列車を利用する人の数はJR北海道のなかで最も多い。利用者にとっては大切な日常の足であり、同社にとっても稼ぎ頭の列車が3日近く麻痺したことでJR北海道への非難の声は非常に大きかった。

 2月7日には「お詫び 札幌圏大雪の影響により、2月5~6日は多くの列車に運休・遅延が発生、2月7日には札幌圏の列車を全日運休させることとなり、ご利用のお客さまにご迷惑をおかけしました。お詫び申し上げます。」と、タイトルか文頭かがはっきりしない告知が同社のホームページに一時公開されることとなった。

地吹雪の破壊力

 告知によると、「2月6日は、列車運行中に風雪が急激に強まり、吹き溜まりが相次いで発生したため、途中で運行不能となった列車が多くありました」という。吹き溜まりとは地吹雪によって飛ばされた雪が障害物に当たり、大量の積雪となることを指す。JR北海道の前身である国鉄の経験から、同社内では地吹雪は雪面上の高さの風速が毎秒4~5m以上で、なおかつ気温が氷点下4~5度以下となると起きると言われている。

 地吹雪は本州でも見られるが、やはり北海道ならではの自然現象だ。その威力は極めて大きく、やはり国鉄の経験から、除雪したばかりの線路も風速毎秒10mの地吹雪が吹き荒れると1時間で12cmの吹き溜まりができるなどとされている。

 地吹雪によって運ばれる雪の量は、旧ソ連の科学者D.M.メルニックによると風速の3乗に比例するとのことで、国鉄の計算では1時間に堆積される雪の深さは風速毎秒20mでは92cm、風速毎秒30mでは何と311cmにも達するという。除雪が間に合わないどころではなく、外での作業自体が危険だ。

 今回の札幌市の大雪では、2月6日の午前6時に西の風・風速毎秒4.1m、気温氷点下4.6度という条件下で、地吹雪が起きたと見られる気象条件が発生した。この日は日中にかけて気温が下がるとともに風速は強まり、15時には北西の風8.0m、気温氷点下6.9度と相当な地吹雪が吹き荒れていたことが想像される。

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