「働かないおじさん」は当人を責めても意味がない? 背景に日本型雇用システムが…企業側の対処法は?

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 春闘の季節とはいえ、どうせ賃金が上がろうと微々たるもの。なのに、職場のアイツは仕事もしないくせに高給を食(は)んでいる……。「働かないおじさん」。しかしこの問題は、当人たちを責めたところで解決はしない。企業、社会が一体となって考えるべき処方箋とは。

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〈世の中高年は受難の時代を迎えている。

「45歳定年制」

 昨年、物議を醸したおじさんたちの「難問」である。しかも、仮に45歳での退職を免れたとしても、企業にいながらにして邪魔者扱いされ、「いてもいなくてもいい人、いや、どっちかというといなくなってほしい人」と思われているケースが少なからずあるのだ。

 世に言う「働かないおじさん」である。

 あなたの周りにも思い当たる人がいるはずで、もしかしたらあなた自身が働かないおじさんになってしまっている可能性もある。我々はいかにして働かないおじさん問題と対峙すべきなのか。

 企業側、おじさん側双方にさまざまな課題がありそうだが、まずは『働かないおじさんが御社をダメにする』の著者で、相模女子大学大学院特任教授の白河桃子氏が「企業編」を論じる。〉

窓際族と「働かないおじさん」の違いは

 現在、とりわけコロナ禍において、日本企業には問題が山積しています。

 女性活躍の推進、ワークライフバランスの確立、働き方改革、リモート化の推進、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入……。改革すべきことが山ほどあるわけですが、仮に経営者がやる気になっても、組織が頑として動かないという現実をよく聞きます。企業の「上」と「下」の中間に分厚い粘土層のようなものが存在し、上から水を流しても下まで浸透していかない。この粘土層こそが現代の「働かないおじさん」です。

 これまで働かないおじさんは、「窓際族」「Windows2000おじさん(窓際族なのに年収2千万円もらっている中高年)」と同義で、文字通りの意味で使われてきました。しかし現在問題になっているのは、先ほどの粘土層のような変化を拒むおじさんです。「働かないおじさん」と言うよりも、「動かないおじさん」と言うべきなのかもしれません。

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