最安値はタダ、おつりは50銭札…3月で閉店、面白過ぎる「激安メガネ店主」が語る“次の戦略”

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 一番安いメガネはタダ。値のついたもので最安値は、子ども用サングラスの28円。399円50銭という珍しい値段のサングラスもある。400円出すと本物の50銭札をおつりにくれたのでビックリ! 遊び心に富んだこの店は、東京・池袋にある「老眼めがね博物館」だ。コロナ禍の影響で3月20日に閉店するというが、店長の武井豊さん(76)に話を聞いた。

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 JR池袋駅東口から歩いて8分。イタリアンレストランやカフェ、居酒屋が並ぶ東通り商店街にある店は、まずその外観に驚かされる。店の外壁がサングラスでびっしり埋め尽くされているのだ。16坪の店内の壁や天井にも、同じくサングラスや老眼鏡が……。

 10年ほど前、武井さんがメガネ問屋の倉庫として使っていた建物の1階を改装。「老眼めがね博物館」をオープンした。その際、目立つようにと外壁や店内に1万3000個ものサングラスを手作業で取り付けたのだ。

 昨年11月23日から閉店セールスを行っていることもあり、現在販売しているメガネは、ほとんどが1000円以下となっている。

「店名には、色んな種類のメガネがあるという意味をこめました。メーカーに残った在庫を安く大量に仕入れることもあり、無料や9割引きの商品もあります」

 と語るのは、武井さん。

「死ぬ気で安くしました」

「コンタクトをしている人は、地震など災害の時に目を傷つける恐れがあるのでレンズを外さなければなりません。その時のために携帯用の小型のメガネを仕入れました。ところが全然売れなかったので無料にしました。メガネコンタクトという商品もあります。これは近眼のメガネに老眼レンズを張り付けるもので、遠近両用メガネになるのです。大量に仕入れたのですが、こちらも売れなかったので無料にしました」

 度付きサングラスも激安だ。

「6500円の商品が645円です。それをセールでさらに半額にしています」

 399円50銭のサングラスに400円払うと、なんと5銭札のおつりが貰える。なぜ50銭札なのか。

「おまけにチラシやポケットティッシュをもらっても、すぐに捨てられてしまいます。でも、50銭札だったら捨てないで取っておきます。お客さんはおつりに50銭札をもらったと他の人に話すでしょう。いい宣伝になるわけですよ」

 それにしても、50銭札なんてどうやって入手するのか。

「古銭屋で50円から100円で買えます。それを重曹で洗ってノリをつけ、アイロンで伸ばして透明フィルムケースにいれてお渡ししています」

 店内には、いたるところに商品のポップがある。290円の伊達メガネは「私このメガネで東大に入りました」。350円のサングラスには「今買わなければ一生の損で終わりますか」。395円のスポーツゴーグルは「死ぬ気で安くしました」などとある。

「ポップを見たお客さんが、うちに来たことがない方にポップの文言をしゃべってくれます。いつの間にかうちの宣伝マンになってくれるわけです」

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