風俗勤務がやめられない「有名国立大」のエリート研究員 四十路を越え、振り返る半生

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テレクラ、スイス人、SM作家…の恋愛遍歴

 今つきあっている彼氏というのも、例のパーティーに客としてきていた男で、しかも既婚者だという。よくよく聞けば、由紀子には普通の恋愛経験がほとんどないことがわかってきた。

「初めての彼氏らしい彼氏は、大学生のときにテレクラで出会った、20歳年上のウェブディレクターでした。でも彼も奥さんがいて、恋人というよりは身体だけの関係でしたね。しばらく関係がありましたが、私が目黒にあるSMクラブで働きはじめ、そこのお客さんだったひとつ上のスイス人の男性と付き合い始めたので、ディレクターの彼とは別れました。でもスイス人の彼は、じつはお店の女王様の“おさがり”でした。その方はSM業界では有名な方なんですが、ご存じですかね? そのスイス人が人生で唯一のまともな彼氏といえば彼氏で、実家にも連れて行ったんです。でも付き合って半年で『君はまだ幼過ぎる』と言われて、電話に出てもらえなくなって、破局。その別れの翌々日に、あるライブハウスで、SM作家の方に出会ったんです」

 由紀子が口にしたその作家の名を私は知らなかった。グーグルで検索すると、官能作家だということがわかった。

「その方が数年前に亡くなるまで、15年ちかく“ご主人様と奴隷”の関係で付き合ってきました。もっとも、彼は職業上サドの設定でしたが、実際はマゾ。かなりの年上でしたので、肉体関係もほとんどありませんでした。“東京のお父さん”のような感覚でしたね」

 パートナーだったというその男性との関係を続けながらも、由紀子は西麻布にあるショーが売りのSMサロンで働いたり、大塚にあるこれまた墓場のような店で働いていた。学業面では、大学を卒業後に院に入り、博士課程まで修了した。そして29歳で、数学の教員として高校に就職をする。

「さすがにまずいと思い、就職してからは一度、風俗店で働くのをやめたんです」

 就職したのは共学の学校。ソフトテニス部の形ばかりの顧問をしていたそうだ。男子生徒とのロマンスはあったのか、とお決まりの質問を投げても、笑って首をふるばかり。

「むしろ同僚の男性教師からは“先生、恋愛したことないでしょう”とからかわれたりしていました。まあ、一般的な恋愛の経験はほとんどなかったので、間違ってはいないんですけれどね」

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