韓国は猿芝居外交のあげく四面楚歌に… 「文在寅」退任でも日韓関係は修復せず

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韓国に言いなりの専門家

――「猿芝居だ」と指摘する声は出なかったのですか?

鈴置:「米朝の仲介役を果たした」と言い出した2018年3月当時から、文在寅政権の仲人口を懸念する声は上がっていました。主に保守からです。「北朝鮮が完全な非核化など約束するわけがない」との認識から「適当なことを言って、トランプ大統領に過剰な期待を抱かせた」との心配です。

 ただ保守も「そもそも米朝の間で話がついていた首脳会談を韓国が仕切ったフリをしている」とまでは批判しませんでした。「自分で運命を切り開く我が民族」という虚像を否定するほどの勇気はなかったのです。

 というか保守の多くも、それに酔っていたフシがあります。当時から今に至るまで、保守系サイトを見ても真正面からの「猿芝居批判」は見付けられません。

 ホワイトハウスで鄭義溶・室長が米朝首脳会談を発表した際、真っ先に「米国への感謝」を述べました。それを見たら、「韓国は花を持たせてもらったな」と気付くのが普通ですが。

 BBCの「〈全文〉北朝鮮と米国の首脳会談について韓国政府代表の声明」(2018年3月9日、日本語版)によると、正確な発言は以下です。

・トランプ大統領の指導力、そして国際的な一致団結と共に最大限の圧力をかけ続ける大統領の方針のおかげで、ここまでたどりついたと、トランプ大統領に説明しました。文在寅大統領自ら、トランプ大統領の指導力に感謝していると伝えました。

 もっともこの後、米朝首脳会談は文在寅政権が仕切ったと韓国は国内外で大宣伝。それを信じ込んで「米国は朝鮮半島の問題解決を韓国に任せた。日本は蚊帳の外だ」とテレビで語る日本の専門家も登場したので、未だに勘違いしている日本人もいますが。

文在寅を押し留めた米警備陣

――米朝はなぜ、「猿芝居」につき合ったのでしょうか。

鈴置:米国は韓国の邪魔を恐れたのだと思います。2017年、韓国人は自分たちが蚊帳の外に置かれているとひがんでいた。何らかの形で参加させてやらないと、駄々をこねて米朝交渉を妨害すると懸念したのでしょう。

 古くは朝鮮戦争の休戦協定を結ぶ際も李承晩(イ・スンマン)政権が邪魔をしたため、米国はクーデターを起こさせて政権を変えようとしたこともあったのです。

 だから米国も一度、花を持たせたあとは韓国を無視し続けました。韓国はシンガポールの首脳会談への参加を望みましたが、米国は北朝鮮が好まないとの理由で拒否。

 当時、大統領補佐官(国家安全保障担当)だったJ・ボルトン(John Bolton)氏は退任後に出版した『The Room Where It Happened: A White House Memoir』の81ページで、そのあたりの経緯を説明しました。翻訳します。

・文はトランプ―金会談を板門店で開催し、その直後に南北朝鮮と米国による三者会談を開こうと猛烈な勢いで主張した。主な狙いは引き続き実施される記念撮影の場に自身を押し込むことだった(この光景は2019年6月に再び見られることになった)。

 確かに2019年6月30日、トランプ大統領が板門店で金正恩委員長に会った際、文在寅大統領が勝手に加わろうとして米警備陣に押し留められました。この映像は世界中に流れ、韓国が「蚊帳の外」にいる実態を改めて露呈しました。

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