「簡単にできること」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

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 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 前回、中南米の子供の肝臓移植のボランティアの話を書きましたが、子供の肝臓移植の半分ぐらいは胆道閉鎖症という生まれつきの病気に対して行われます。この胆道閉鎖症には生後すぐに葛西手術という手術が行われます。葛西手術をしても結局は移植が必要になる例が多いのですが、葛西手術によって移植手術のタイミングを遅れさせることができるのでより安全に移植手術のできる年齢にまで成長できます。そんな葛西手術を開発したのは東北大学におられた葛西先生です。日本人の名前のついた手術としては最も世界的にたくさん行われている手術です。

 さて今回の表現はpiece of cake。piece of cakeはケーキの一切れ。ケーキのパイから切り取ったケーキのことです。直訳からは何のことか想像ができないと思いますが、piece of cakeは「簡単にできること」「たやすく達成できること」の意味です。なぜpiece of cakeが簡単にできることの意味になったかは諸説あるようです。アメリカの奴隷制度の時代に始まったとする説とイギリス空軍が使ったことから始まったという説が有力のようです。ただ、ニュアンスとしてはケーキの一切れを食べるぐらいたやすいと覚えるといいのではないでしょうか。

 piece of cakeの使い方の例は“Don’t worry, giving a board meeting presentation should be a piece of cake for you.”「心配するな。取締役会でのプレゼンテーションなんて君にはチョロいものさ」や、“That exam was such a piece of cake. I finished it in 15 minutes.”「あの試験は本当に簡単だったね。僕は15分で終わったよ」などです。

 では練習問題です。(答えは下)

1.日本語に訳すと?

“Convincing all parties to reach an agreement isn’t a piece of cake.”

2.piece of cakeを使って英語で言うと?

「グラフを作るなんてこのプログラムを使えば簡単にできるよ。」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

週刊新潮 2021年10月14日号掲載

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