「林芳正」外相の選挙を巡り「山口県副知事」を書類送検 背後に“県政のドン”

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 ピアノ演奏で外交デビューし、「ポスト岸田」に躍り出た林芳正外相(60)に何やらキナ臭い“疑惑”が浮上している。自身の選挙に関し、山口県庁の幹部らに公選法違反の疑いが発覚。「元総理」の影もちらつくが、その奥には深い闇と権力闘争が渦巻いていて……。

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 ジョン・レノンがニューヨークの自宅前で凶弾に斃れたのは1980年12月8日。国境のない世界を願い、反戦への思いを込めた「イマジン」は今も世界中で歌い継がれるが、各国外相が居並ぶ前で演奏し、喝采を浴びたのは林芳正外相だった。2021年12月11日にイギリスで開かれたG7外相会合、ビートルズ・ストーリー博物館の夕食会に参加した折、ピアノでかの曲を即興で披露したのだ。

「ビートルズはファンでございますので、勇気を出して一節を弾かせていただいたということです」

 林氏は会見でそう胸を張った。もともと国会議員仲間とバンドを組むほど音楽に造詣が深く、外交デビューの場で早速、存在感を見せつけることができた。かくして、東大法学部卒、ハーバード大留学経験もある林氏は「ポスト岸田」争いで有力な候補として世間に認知されたことに疑いはあるまい。

 岸田文雄総理と同じ宏池会に所属する林氏は茂木敏充前外相が自民党幹事長に就任するにあたり、11月、新外相として白羽の矢が立った。だが、林氏が外相に就任するまでの道のりは、対立のない世界を歌った「イマジン」とはまるで対照的である。

山口県政の「ドン」

 21年秋の衆院選で参院から山口3区へ鞍替えし、同区の地盤を長く守ってきた河村建夫元官房長官を政界引退に追い込んでの初当選だった。そのために地元では、憎悪が入り乱れた「戦い」が繰り広げられた。中でも、暗躍していたのが林氏の“黒幕”とされる人物だ。

 G7から遡ること1週間。林氏の姿は、地元・山口県にあった。湯田温泉のホテルで開かれた「外相就任祝賀会」に妻とともに出席していたのだ。支援者150人を集め、盛大に開かれたパーティーの席上、山口県の村岡嗣政知事(49)とともに祝賀会の発起人に名を連ねていたのが、柳居俊学(やないしゅんがく)・山口県議会議長(71)である。

 人呼んで、山口県政の「ドン」――。

「柳居さんが林さんを山口3区に押し込み、衆院鞍替えを実現させた張本人なのです」(山口県政関係者)

 柳居氏は1991年に山口県議に初当選し、2011年から県議会議長を2度務めている。現在も県庁内に多大なる影響力を持ち、人事を含め、権勢を振るっているという。

 この祝賀会で柳居氏は、

「林先生が日本の新しい時代を切り拓いていかれますことを大いに期待させていただいております」

 と語り、「総理候補」を誕生させたことにご満悦の様子だった。

 しかし、好事魔多し、とはこのことである。

 この山口3区の選挙に関して、県警と山口地検が公職選挙法、もしくは地方公務員法違反の疑いで大規模な捜査を行っていたことが報じられた。

 捜査関係者が囁く。

「林さんが出馬した山口3区の衆院選に関して県警と山口地検は合同捜査をしてきました。県庁と山口市役所の100人を超える職員を対象にした大規模な事情聴取を行っていたのです」

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