「林芳正」外相の選挙を巡り「山口県副知事」を書類送検 背後に“県政のドン”

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副知事が議員を呼び出し…

 12月18日、その村岡知事を直撃した。

――公選法違反で県職員の聴取が行われている。

「回答は差し控えます。私は聴取されていませんが、捜査への協力は致します」

――柳居氏が県庁に対し、林氏の後援会に入るよう指示したのか。

「回答を差し控えます」

 柳居氏にも問い質したが、

「申し上げることはありません」

 口にはできない深いご事情がおありのようだ。

 では違法なスキームを用いて、“当選させてもらった”立場の林氏はどうか。

 前出の県庁OBが言う。

「林さんはこうした手法で後援会員が集められていることを知っているはずですよ。ある県内の地方議員が数年前に出馬する際は当時の副知事に県庁へ呼び出され、“ほら”と約400人分の県職員らのリストを渡されていました。何らかの形で県庁から、本人、後援会や自民党県連などにリストが渡るのですから、当然、把握しています」

 そのことを指し示すように、すでに林氏の地元秘書の一人が当局によって聴取されたという。

生殺与奪の権限は永田町と霞が関に

 当該の秘書の自宅を訪ねるも取材拒否。当の林氏に都内の自宅前で問えば、

「事務所に……」

 と言うので、秘書への聴取の有無を含め、19日に質問書を送ったが、

「コメントは差し控えさせていただきます」

 当事者たちは一様に口を閉ざす。実は今回の事案に限らず選挙違反が立件されるかどうかの生殺与奪の権限は、永田町と霞が関にある。警察庁関係者によれば、

「警察庁は表向き“選挙違反をあげろ”と地方の警察にゲキを飛ばしますが、こうした現職大臣が関わる事案になると、官邸の顔色を窺い、立件するか否かを判断します。過去に、警察行政に理解が深く、時の総理にも近い大物議員が選挙違反を行っていて、地元警察が捜査を進めた時も、警察庁からストップがかかり、お咎めなしになった例もありました」

 ただ、と官邸関係者が言葉を継ぐ。

「この捜査は結果的に林さんの支援組織に疵(きず)をつけるので、安倍元総理にとっては渡りに舟でしょう。安倍さんはやはり心情的に林さんのことを良く思っていない。12年の自民党総裁選で林さんは勝ち目もないのに出馬し、再起を懸けて闘う安倍さんの地元の下関に選対事務所を構えた。そのことを安倍さんサイドは今でも許せないのです。ちなみに今の中村格(いたる)・警察庁長官は安倍さんへの忖度男ですし、山口県警本部長はその一の子分です」

 長州・山口県は伊藤博文を筆頭に全国最多、8人の総理大臣が輩出している。林氏は保守王国を支える重鎮たちの絶大、しかし違法な“支援”を受け、9人目の総理を目指すのだろうか。

週刊新潮 2021年12月30日・2022年1月6日号掲載

特集「100人超の公務員が聴取される空前捜査 総理候補『林芳正』外相の『選挙違反』摘発の裏に権力闘争」より

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