変わる「福岡」のラーメン事情 “非豚骨”の店の数が“豚骨”の店を上回る

ライフ 食・暮らし

  • ブックマーク

Advertisement

福岡に起きている地殻変動

 さらに松崎さんに話を聞くと、意外な事実が浮かび上がってきた。

「福岡では豚骨ラーメン以外を出す店がこの2年でめちゃくちゃ増えています。今、福岡で新規で豚骨ラーメンを出す店はあまりないんじゃないかと思います。新規でいえば完全に非豚骨が豚骨を逆転しています」(松崎さん)

 実際、食べログで福岡で新規オープンしたラーメン店を調べると、豚骨ラーメンの新規店はチェーン店も含めて全体の4割ほどで、非豚骨系ラーメンが逆転していた。非豚骨系では醤油、塩、横浜家系の順に出店が多く、二郎系、味噌、トマトラーメンなど都内でも見るラーメンが並ぶ。

 また『とら食堂』店主の和田さんによれば「あくまで個人的意見ですが、ここ最近は福岡や九州内でラーメンの修行をして店を開くのではなく、東京に行って修行をして、福岡に戻って店を開く人が増えている」と新たな世代の登場が、福岡のラーメンに変化を生んでいるという。

 実際に筆者が博多や天神など中心地を歩くと、これまでになかった家系ラーメン、つけ麺を出す店の真新しい看板が目についた。

 ほんの数年前までは「醤油ラーメンを出す際に『豚骨ラーメンではありません』とわかりやすく書かないとクレームがくることもあった」(『らぁ麺 なお人』の松崎さん)というほどだった福岡のラーメン文化。だが令和の今、その色を豚骨一色から変えようとしている。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。