「正月を不倫相手と過ごしたい」夫たち 密会に成功も、自宅に帰って妻にバレた“致命的なミス”

  • ブックマーク

Advertisement

朝靄の中から現れたのは…

 安心したのか、ふたりとも深い眠りにつき、朝早く同時に目を覚ました。

「早朝のフィレンツェの町を散歩したいと彼女が言うので、ふたりで外へ出ました。寒かったからぴったりくっついてね」

 かの有名なヴェッキオ橋のあたりも、深くもやっていてまだ人はほとんどいない。ふたりはどっぷりとロマンティックな気分に浸っていた。

「途中でキスをしたりしながら歩いて行くと、向こうからふたりの女性がやってきた。それでも僕らは気にせず手をつないで歩いていったんです。ところが近づいてきた女性の顔を見てひっくり返りそうになりました。妻だったんです」

 聞いているこちらが吹き出してしまうような告白だ。そんなことがあり得るのか。

「それは僕のセリフですよ。驚いたなんてものではなかった。しかも妻、『あら、こんなところで会うなんて』と立ち止まるんですよ。真智子も立ち止まってしまったけど、僕は真智子を引きずるようにして歩きました。妻は妹と一緒でした」

 隆治さんは35歳で結婚した。子どもはいない。妻は仕事が趣味のような女性で、バリバリのキャリアウーマンだ。年末年始は、それぞれの実家に帰るのが常だったが、その年は隆治さんが仕事がらみの視察旅行に行くとだけ告げていた。

「どこへ行くとは言ってないんですよ。何かあったら携帯に連絡してとは言っておいたけど。うちはそういう距離感の夫婦だった。僕がいない間、妻がどうするかも尋ねなかった。まさか妻もフィレンツェに来ているなんて思いもよりませんでした。そもそも妻は、あまり海外旅行とかするタイプじゃないし」

 だからこそ驚いたのだ。

 さっさと歩き出した隆治さんのもとへ、妻の妹が追いかけてきた。

「ちょっとお義兄さん、これ、どういうことなのと義妹が大声で叫んで。『とりあえず、ここは……』と言ったけど義妹は真智子に、『あなた、誰なの? 私はこの人の奥さんの妹』と言ってしまった。真智子はショックを受けていました」

次ページ:そしてすべて失った

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[4/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。