事件現場清掃人は見た 7年前に孤独死した「50代男性」を発見してタダ働きさせられた件

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見積もりはいらない

「私が部屋を訪れたのは夕方でしたので、それから警察を呼ぶと通勤時間帯にかかり騒ぎになります。そこで大家さんに『7年間も放置していたのだから、警察への通報が1日遅れても構わないでしょう。明日の午前10時に通報すれば、午後には検死が終わっていると思いますよ』とアドバイスしました」

 大家は翌日、提案通りに警察に通報した。

「警察の検死の結果、病死で事件性はないということでした。遺族が判ったので、警察が連絡したそうです。男性は派遣のガードマンをしていたそうですが、病死しゴミの中に誰にも気づかれないまま7年間も埋もれていたのです。派遣会社は彼の安否確認をしなかったのでしょうか、あまりにも気の毒な話です」

 高江洲氏が見積もりを出そうとすると、大家から意外なことを言われたという。

「『いつもの出入り業者にゴミの処理をしてもらうから、見積もりはいらない』と言い出しました。啞然としましたね。部屋の中を確認して白骨した遺体を見つけ、警察へのアドバイスもしたのに、これではただ働きです。遺体が見つかったわけですから清掃には特殊な薬剤を使うし、床下に染み込んだ遺体から出た体液を除去せねばなりません。特殊清掃となって料金が高くなるのが嫌になったのでしょう。仕方がないので私は帰りましたが、何とも後味の悪い現場となりました」

 その後、高江洲氏は二度と大家と連絡を取ることはなかった。

デイリー新潮編集部

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