バイデン政権は高インフレで早くもダメ出しされる可能性 カーター政権の悪夢が甦る

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4割がトランプ出馬に期待

 バイデン政権も手をこまねいているわけではない。輸入物資を運ぶコンテナ船の渋滞を解消するためにロサンゼルス港を24時間稼働させ、ガソリン価格を引き下げるために戦略石油備蓄(SPR)の放出などを実施した。だがインフレを抑える効果は限定的だ。

 今後も高インフレが続くようであれば、来年末の中間選挙で民主党が劣勢に立たされるのは間違いない。2024年の大統領選挙にも影響が出るだろう。

 民主党にとって頭が痛いのは、ハリス副大統領がバイデン大統領以上に人気がないことだ。ハリス氏の支持率は11月に28%に低下したが、この数字はこれまで最も不人気だったチェイニー元副大統領の30%をも下回っている。ハリス氏のスタッフの退任がこのところ相次いでおり、リーダーとしての資質に疑問の声があがっている。

 一方、共和党ではトランプ前大統領が2024年の大統領復帰に向けて早くも選挙活動を始めたかのような政権攻撃を繰り返している。トランプ氏の次の大統領選出馬を期待している有権者が約4割に上ることも最近の世論調査でわかっている。

 インフレが進めば進むほど、トランプ氏が3年後に復活する確率が高まっていくのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

2021年12月27日掲載

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