年俸1億「小林」、5500万「大城」、1600万「岸田」…巨人の来季“正捕手争い”はどうなる【柴田勲のセブンアイズ】

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内野手では最高額

 プロ野球の契約更改が佳境に入っている。巨人では主将の坂本勇人(33)が5年契約4年目となる来季へ1億円増の6億円(金額は推定)でサインし、NPB史上、内野手では最高額になったという。

 巨人だけではなく、あちらこちらで景気のいい話が飛び交っている。私の場合、2000本安打を達成した1980年で1800万円だった。いまと昔を単純に比較できないけどいい時代になったと思うね。

 V9時代を振り返ると、O(王貞治さん)N(長嶋茂雄さん)がセ・リーグだけではなく、球界をリードする高給取りだった、その次に続いたのが捕手の森(祇晶)さんだった。「V9の頭脳」といわれ、川上(哲治)さんの信頼が実に厚かった。

 ところで坂本が契約更改交渉に臨んだ日に大城卓三も1千万円増の5500万円(推定)でサインをしている。プロ4年目の今季は125試合に出場、打率.231、初の2ケタ本塁打(11本)を放ち37打点を挙げた。盗塁阻止率はリーグトップの.447だった。

 今季は正捕手の座をつかみかけたが、そこまでは至らなかった。私は大城をずっと使い続けてほしいと思っている。でも、ベンチの中から見るとリード面を含めていろいろ物足りない部分があるのだろう。

打撃が悪すぎる

 来季も巨人の捕手勢は大城に小林誠司、それに岸田行倫の三人が中心となる。小林は現状維持の1億円(推定)でサインをしている。19年オフに4年契約を結び今年が2年目だった。

 今季は64試合に出場し打率.093、1本塁打、3打点だった。打率が自分の身長(178センチ)の数字にも届かない。せめて2割以上はいきたいところだ。打撃が悪すぎる。

 では、小林の打撃が今後、向上するかといえば、打撃能力やパワーの面から難しいのではないか。結局、何度も今コラムで指摘してきたところだが、打者は甘い球を仕留めることが肝要だ。小林にも結構甘い球が来るが見逃しが多い。で、追い込まれては三振か凡退となる。来年は33歳、本人も課題をよくわかっているはずだが、厳しい。

 それでも小林には、今オフ海外FA権を封印したエース・菅野智之とのコンビネーションがある。エースが同年齢で気心の知れた小林を相棒に指名すればベンチはノーと言えない。受け入れる。エースが投げやすいようにしてやる。

 もちろん、評価されている面もある。今季は8、9回の出番が多かった。「抑え捕手」としてチアゴ・ビエイラらをリードしてきた。キャッチングにインサイドワーク、それに肩の強さもあっての起用だった。まだまだ出番はありそうだ。

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