元ヤクザがフィリピンのスラム街で困窮生活…衝撃のドキュメンタリー「なれのはて」監督インタビュー

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「事件」を起こして日本から逃亡

 脳梗塞で不自由になった半身を杖で支え、人々が大声で言葉を交わすマニラの狭い通りを下着姿でゆっくりと歩く日本人男性――。フィリピンで暮らす「困窮日本人 」のひとり、嶋村正さん(62、年齢当時、以下同) は近所の女性に小銭を渡して身の回りの世話をしてもらいながら、スラム街の汚れた狭い部屋で暮らしている。

 フィリピンのマニラ首都圏にあるスラムには、400万人ほどの人々が暮らしているという。そのスラム街に、帰国できずに極貧の生活を送る高齢の日本人男性たちがいる。映画「なれのはて」(粂田剛監督/12月18日から新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開)は、マニラで暮らす日本人男性4人を7年にわたって追い続け、彼らの証言と生活を記録したドキュメンタリーだ。

 冒頭の嶋村さんは警察官からヤクザに落ちぶれ、さらにフィリピーナに惚れ込んで離婚、フィリピンへ渡ったワケありで、撮影時はフィリピン人との偽装結婚で得たわずかな報酬でなんとか暮らしていた。他の3人も、証券会社を退職し、ゴルフ場の開発でフィリピンを訪れた安岡一生さん(58)や、元ヤクザで「ある事件」を起こし、日本から逃亡してきた谷口俊比古さん(64)、元トラック運転手でフィリピンパブにハマり、移住を決意、現地女性と結婚した平山敏春さん(63)と、身を持ち崩してフィリピンにたどり着いた人生を送っている。彼らをひとりで撮影してきた粂田監督に、なぜ彼らに興味をひかれたのか、映画で何を伝えたかったのか、話を聞いた。

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