泉田裕彦議員が録音データを公開、それでも「裏金要求」告発が今ひとつ盛り上がらない理由

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100人分の買収資金?

「特に違和感を覚えるのは、2000万円から3000万円という額です。例えば、国会議員だった河井克行(58)、河井案里(48)元被告の場合、参院選で買収を行ったとして公選法違反で逮捕・起訴され、今年になって有罪が確定しました。裁判では地元の地方議員や首長など計94人に約2570万円を渡したことが明らかになりました。これを1人あたりの額にすると27万3000円となります。こういう場合の“相場”は30万円前後ですからリアルな数字です」

 この“1人あたり30万円”を、泉田氏が告発した事例に当てはめてみよう。3000万円を30万円で割ると、100人に配るための“裏金”ということになる。

「いくら星野さんが“新潟のドン”でも、100人分の買収資金を用意しろとアドバイスするとは思えません。河井夫妻の場合は、同じ自民党の参議院議員だった溝手顕正さん(79)に負けない知名度を短期間で獲得する必要がありました。やり方は違法ですが、参院選は県下全域ですから、計94人に金をばら撒こうとしたのは理解できます。しかし泉田さんは、小選挙区の自民党公認候補です。たとえ“挨拶”のために現金を包んだほうがいい関係者がいるとしても、せいぜい数十人だったと思いますね」(同・関係者)

深まる謎

 仮に2000万円から3000万円という買収資金を“ばら撒く”必要があるのなら、裏金を準備して一人ひとりに手渡す必要などない。政治団体を利用するほうが、よほど安全だという。

「細かいノウハウはありますが、基本的には国会議員の政治団体が持つ資金を、活動費として県議の政治団体へ寄付してしまえばいいのです。団体間の資金移動には制限がありません。堂々と処理してしまえば、警察や検察も捜査が困難になります」(同・関係者)

 泉田氏の記者会見では、「星野氏が助言した内容は一般的な選挙費用を指すのでは?」との質問が出た。

 関係者も「あくまでも現時点での判断ではありますが、私も記者と同じことを考えていました」と言う。

「選挙資金は、参院選で3億円、衆院選で1億円かかると言った人がいます。領収証をもらっても処理できない出費が少なくないのです。例えば、文房具代やポスターを貼る時に使う両面テープなどの消耗品代、レンタルができないバッグや脚立などの事務所の備品代は、意外に処理が難しい。準備を手伝ってくれるスタッフに対する日当も馬鹿になりません。こうした出費が積もり積もって2000万円や3000万円になる。『今のうちから金を準備しておけ。必要経費を早く撒こう』と星野さんが助言したというほうが、私にはしっくりきます」

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