自民党政調会長って外務大臣よりもエラいの? いまさら聞けない肩書の基礎知識

政治2017年8月4日掲載

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外相よりも党の役職?

 安倍首相にとって正念場とも言える内閣改造と党人事の刷新が行なわれた。

 今回の人事で大きな注目を集めたのが、「ポスト安倍」の1人とされる岸田外務大臣の処遇である。朝日新聞などは早い段階で「外相留任」と報じたのだが、結果的には誤報になってしまった。岸田氏は自民党政調会長に就任することとなったからだ。これは本人の強い希望によるもの、と伝えられている。

 一般的に外務大臣と言えば、内閣の最重要ポスト。

 それを蹴ってまで党の役職を求めたということだとすると、こんな疑問がわく方もいるのではないか。

「政調会長ってそんなに偉いの?」

 政党以外では聞かない肩書だけに、なかなか一般には馴染みがない。しかし、いまさら「政調会長ってナニ?」というのも気後れする――という方のために、基礎知識をおさらいしておこう。テキストとするのは、政官財の肩書を網羅的に解説した『出世と肩書』(藤澤志穂子・著)だ。(以下、同書より抜粋、引用)

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多くの首相が経験

「政務調査会」は政策の調査研究と企画立案を担当し、傘下に国会議員をはじめとする党員や有識者、学識者で構成する部会、調査会、特別委員会を束ねる。その会長が「政調会長」だ。

 後の首相経験者ではこれまでに福田赳夫氏、田中角栄氏、三木武夫氏、大平正芳氏、森喜朗氏、麻生太郎氏らが在任。

 2012年に初の女性会長に高市早苗氏が就任、後任の稲田朋美氏が2014年から16年にかけて会長の座にあり、2代続けて女性が登用された。

 部会は「総務」「法務」「外交」「財務金融」「国土交通」「農林」など衆参両院の委員会に準ずる内容で置かれている。調査会では「税制」「金融」「司法制度」「情報通信戦略」「資源・エネルギー戦略」など個別テーマに分かれ、特別委員会では「超伝導リニア鉄道」「外国人労働者」「捕鯨対策」「人口減少社会対策」などさらに細分化され随時、東京・永田町の自民党本部ほかで会合を行なっている。

 部会は公明党や民進党など他党も設けているが、自民党の数は圧倒的に多く、与党の中枢にある以上、権限も大きい。

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党三役はエラい

 要は自民党が与党である限り、政府の政策立案にも強い影響力を持つのが政調会長ということになる。

 この政調会長に加えて、選挙対策など全ての実務を仕切る幹事長、議決機関である総務会の会長の3つのポストを総称して「自民党三役」という。

 これらポストは、ある意味で大臣よりも重要だと見られている。

 なかでも幹事長(今回は二階氏が留任)の権限は絶大だ。かつて小泉純一郎政権で幹事長を務めた武部勤氏は、首相執務室にいるときに「官房長官室に行ってきます」と言ったところ、「幹事長が行くものではない。いまここに呼ぶ」と言われたという。少なくとも、その頃までは官房長官よりも幹事長のほうが格上だったということだ。

今回はまったく蚊帳の外だったとはいえ、「ポスト安倍」の対抗馬、石破茂代議士は、幹事長や政調会長をすでに経験している。それだけに岸田氏としては、三役を今のうちに経験したいと考えたのだろうか。

デイリー新潮編集部