愛知中3刺殺事件、明かされぬ動機に迫る 加害少年の祖父は「内気な子でしたから」

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“うるさい”と怒った

 そのサッカー部には加害少年も入っていた。そもそも二人は保育園から小中と同じ学校に通う幼なじみで、兄同士が友人という間柄だったという。

「二人が通っていた小学校は生徒数も少なく、1学年に男子が10人前後、女子も14~15人しかいなかった。和気あいあいとした学校の中で、二人の関係は距離があったと思います。ユズは明るくて常に同級生の中心にいるリーダー的な存在でしたが、逮捕された彼は大人しくて目立たない雰囲気。登下校の際、道路からはみ出して歩いていたことを注意されると、いきなり“うるさい”と怒ったり、上級生に敬語を使わずタメ口で話すこともあった。俺は他のみんなと違うというオーラを出していて、少し変わったところがある子でした」(先の地元住民)

 小学校の卒業文集で、加害少年は〈「小学校の思い出と将来の夢」〉と題した作文を書いている。SF映画が好きでスター・ウォーズなどを製作したルーカスフィルム社で働きたいと綴った上で、〈そのために、中学・高校で英語をてってい的に勉強し、専門学校で映像技術について勉強し、アメリカに行きたいです〉と記していたことからは、将来について確固たる意志を持っていたと窺える。

 ところが、高校進学を来年に控えた11月中旬、加害少年は北陸方面への修学旅行を機に殺害を決意したと供述しているという。事件で使われた凶器は旅行から帰った直後に購入したことも捜査で判明したが、いったい何があったというのか。

「内気な子」

 前出の記者によれば、

「加害少年は学校から禁止されていたスマホを旅行に持参していたのですが、それを他の生徒に見つかり告げ口され、教師に叱られて没収されました。それまでも学校で嫌な出来事が重なって、“どうでもよくなった”と感じるようになり、伊藤くんの殺害を決意したと供述しているといいます」

 さる捜査関係者は、

「加害少年は家庭内でトラブルがあったとも口にしているが、あえて彼の側に立てば、“いじめ”などでよい思い出がなかった中学生活で、唯一楽しみにしていたのが修学旅行だったのに、それさえも“仲間の裏切り”で台無しにされた。そう感じて自暴自棄になったとしても不思議ではない。教師に言いつけたのは亡くなった伊藤くんとは別の生徒だったという話だが……」

 加害少年と同居していた祖父に尋ねたところ、

「(事件当日の朝)孫が家を出る時に“行ってらっしゃい”と声を掛けたのが最後でした。元気がなかったかと聞かれても、普段から内気な子でしたから、胸の中にしまっていたのだと思います。そういう性格の子ですので、いつもと変わらないように見えて、こちらも心情まではつかめませんでした……」

週刊新潮 2021年12月9日号掲載

特集「柳刃包丁の殺意 『14歳の同級生刺殺』 動機は『修学旅行』」より

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