脱税容疑で逮捕の日大「田中理事長」 7年前に“相撲部口座”で国税からの呼び出しを拒否していた

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現金の受け渡し場所だったちゃんこ屋

 ただ、東京国税局の調査の手が及んだため、田中容疑者がそれまでのように相撲部の別口口座の資金に手を着けることが難しくなった。そこに新たな資金源として井ノ口被告が連れてきたのが、大阪市の医療法人グループ錦秀会理事長(当時)藪本雅巳被告(61)だった。日大は17年4月以降、医療機器のほか、医薬品や医療器具などの調達の契約事務を日大事業部に集約しており、19年12月に同社取締役に就任した井ノ口被告は、画像診断機や電子カルテシステムなどの調達を通じて藪本被告と急接近。日大板橋病院建て替え計画をめぐる今回の背任事件を引き起こした。

 その過程で藪本被告は井ノ口被告の仲介により18年と20年、仕事をもらったお礼と理事長5選祝いの名目で計7500万円の現金を田中容疑者に渡した。また、井ノ口被告も日大との取引業者から集めるなどした計約300万円を理事長5選祝いの名目で田中容疑者に渡していた。藪本被告が20年8月7日に都内の焼き肉店で3000万円を渡した際は井ノ口被告も同席していたという。

 そして、こうした現金の受け渡し場所の一つとして使われたのが、冒頭で取り上げた阿佐ヶ谷のちゃんこ料理屋だった。前出の日大関係者が話す。

「そもそもこのちゃんこ料理屋は田中容疑者のA子夫人の実家の小料理屋ですが、地元の人が利用するのを殆ど見掛けません。同容疑者を裏から操っていると言われるA子夫人に取り入って日大関連の仕事をもらおうとする業者や、同容疑者の腰巾着の日大本部職員が頻繁に出入りして夫人のご機嫌を取っている。同容疑者よりA子夫人に先に気に入られないと、日大関連のビジネスに絡ませてもらえないからです。井ノ口被告が学内の飲料自販機設置の件で某大手飲料メーカーの担当者を連れて来た際には、何としても設置を実現させたい担当者が現金3000万円を持参したという情報もあります。A子夫人のご機嫌伺いは、学内で『阿佐ヶ谷詣で』と呼ばれています」

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