脱税容疑で逮捕の日大「田中理事長」 7年前に“相撲部口座”で国税からの呼び出しを拒否していた

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 附属病院の事業を巡る背任事件で、理事に続き理事長までもが逮捕された日本大学。だが、日大にまつわる疑惑はいまになって始まったわけではない。日大構内の自動販売機設置や損害保険代理店事業など日大事業部が展開するビジネスに絡み、多額のリベートが同大の田中英壽理事長(74)に還流している。その舞台となっているのは理事長の妻が経営する、東京・阿佐ヶ谷のちゃんこ料理屋だ――。こんな情報が約10年前から日大関係者やマスコミの間で流布していた。2014年8月5日には、東京国税局が満を持して日大本部の税務調査に乗り込んでいた。

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相撲部名義の二つの口座

「そのターゲットはもちろん、理事長の田中容疑者=脱税容疑で逮捕=の最側近である井ノ口忠男被告(64)=背任罪で逮捕・起訴=が理事長付相談役兼事業企画部長(当時)として権勢をふるう利権会社の株式会社日本大学事業部でした。『同事業部の裏帳簿が東京・世田谷区の日大アメリカンフットボール部の部室に置かれている』といったタレ込み情報もあり、調査対象は全国15学部に及びました。そしてこの調査は当初から、理事長の田中容疑者が標的でした」(当時この調査を取材した経済事件ジャーナリストの田中周紀氏)

 相撲部主将から体育助手となった田中容疑者は、保健体育局の職員として総長選挙のカネ集めや票集めで頭角を現して、08年には遂に日大理事長にのし上がった。日大関係者によると、カネ儲けの感覚は非常に鋭いという。前出の田中氏が解説する。

「調査は、大学などの公益法人を担当する課税第二部資料調査第三課が行いました。査察部(マルサ)のような強制調査権限こそありませんが、通称料調(リョウチョウ)と呼ばれる、腕利きの調査マンを抱えるセクションで、隠した所得が3年間で1億円を超えるような悪質事案は査察部に連絡し、強制調査の端緒を作ります。この時彼らが目を付けたのが、日大本部近くの三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行=日大の長年のメインバンク)市ヶ谷支店に開設されていた日大相撲部名義の二つの口座。一方は大学からの補助金などが振り込まれる表の口座で、もう一方は角界入りした相撲部OBからの“御礼金”や、支援者からの寄付金などが振り込まれる口座で“別口”と称されていました。2 つの口座はともに相撲部総監督の田中容疑者の管理下にありました」

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