新庄は17打数6安打、江川卓は突然の引退会見…日本シリーズを最後に引退した7人のスター選手

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「日本一」で引退した2人

 野手なら北海道日本ハムファイターズの新監督“BIG BOSS”こと新庄剛志(当時の登録名はSHINJO、49)がまず思い浮かぶ。阪神タイガースで活躍し、メジャーを経て04年に同球団に加入すると「札幌ドームを満員にする」「チームを日本一にする」と宣言。試合前には被り物のパフォーマンスなどを決行し、プロ野球ファンを大いに盛り上げた。

 ところが06年開幕直後、そのシーズン限りでの現役引退を突然表明。この年の日ハムは森本稀哲、田中賢介、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)ら若手が成長し、勝利を積み重ねていった。勢いに乗ったチームは25年ぶりにリーグ優勝を達成し、新庄もシリーズ初出場を果たしたのである。

 日本一をかけた中日との戦いでは、全5試合に6番・センターで先発出場し、17打数6安打、打率3割5分3厘という活躍をみせ、チームの44年ぶり2度目の日本一に貢献。第5戦の8回裏、涙を流しながら迎えた現役最後の打席では全3球ストレート勝負で新庄らしい豪快な空振り三振に倒れている。最終的にチームの入団会見で掲げた2つの目標をともに達成してユニフォームを脱ぐことになり、まさに最高の形で現役生活に別れを告げたのだった。

 打者からはもう1人。読売ジャイアンツの中畑清の名が挙がる。89年のシーズン序盤にケガで長期戦線離脱を余儀なくされると、その間に若手が台頭し定位置を奪われてしまった。復帰してもベンチを温める日々が続き、シーズン終盤に引退を表明。それでもチームはリーグ優勝を果たし、近鉄バファローズとの日本一決戦に挑むことに。

 シリーズでチームはいきなり3連敗を喫したが、そこから粘りを発揮し、3連勝でタイに持ち込んだ。迎えた藤井寺球場での第7戦。中畑は6-2とリードした6回表に代打で登場すると、吉井理人からダメ押しのソロ本塁打を放つ。結局、8-5で勝利したチームは大逆転で日本一の座を掴み取ったのであった。

 この現役最後の本塁打の際、中畑はベンチには笑顔で戻ったものの、ベンチ裏に駆け込むと男泣きに泣いたという。有終の美を飾った中畑のあの“万感の一発”がいまだに忘れられないという読売ファンは多い。

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