及び腰の韓国を米国は経済制裁で脅す 「西側経済圏」復活で「中国閉め出し」を図る

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来年早々に中国排除の枠組み

 米国は中国を排除した「西側経済圏」の実現に向け、着々と動いています。USTR(米通商代表部)のK・タイ(Katherine Tai)代表は日本、韓国、インドを歴訪して各国閣僚と会談し、仲間作りに励みました。

 訪日中の11月18日にはNHKと単独会見。「米国は中国の挑戦に直面した。我々の経済を守るため、パートナー、同盟国、我々と利益を共にする国と共に行動する」、「来年早い段階に、インド太平洋地域で意思を共にする国と枠組みを作りたい」と語りました。

――韓国はどう対応するのでしょうか。
 
鈴置:タイ代表には調子を合わせていましたが、中国を敵に回すような「枠組み」には入らないと思います。崔鍾建第1次官の演説でも中国と敵対できない理由として「部品の対中依存度が高いこと」を挙げています。以下です。

・At the same time, we are also worried about supply-chain resilience, meaning that - overdependence on, you know, many parts and components coming from China.

 部品・素材の対中依存度が高まったからこそ、西側だけでサプライチェーンを作って弱点を克服しよう、と米国が呼びかけているのに。韓国は強い敵には、初めから白旗を掲げてしまうところがあります。戦争に勝ったことがないからでしょう。

 韓国の弱腰は来年3月の大統領選挙で保守が政権を取っても、さほど変わらないと思います。「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソルヨル)候補も中国包囲網たる「QUAD(日米豪印戦略対話)」に対しては「段階的に参加することを検討する」と及び腰です。

 QUAD以上に直接的な中国締め上げ効果を持つ「西側によるサプライチェーンの枠組み」に中国が神経を尖らせ、韓国に参加するなと圧力をかけることは確実です。

提訴取り下げなら韓国と和解?

――日本は?

鈴置:「枠組み」に参加するでしょう。11月17日にタイ代表と会談した萩生田光一経済産業相も日米が足並みに備えて中国に対抗することで合意しています。

 ただ、サプライチェーンの戦略的意味や、戦術として実行するための産業的な判断が、政府部内でどれだけ共通の認識となっているかは疑わしい。

 自民党外交部会長である佐藤正久参議院議員が中央日報の記者と会って「韓国の出方次第で、対韓輸出規制の強化を元に戻す」と語りました。「次期政権がWTOへの提訴を撤回すれば、日本は直ちに輸出規制を解くだろう」(11月11日、韓国語版)です。関係する発言部分を訳します。

・(「2年4カ月になる日本の輸出規制を解いてもいいのではないか」との質問に対し)この問題は文在寅政権の失敗だった。実際、両国の実務者の間の合意を経て法整備もなされ、監視人員も増やし、間もなく解除できそうになった段階で、韓国がWTOに提訴した。
・次元が異なるGSOMIA(軍事情報包括保護協定)と連携させもした。提訴をしていなければ、とっくに解決していた問題だ。次の政権で韓国がWTO提訴を撤回さえすれば、輸出規制は直ちに解かれる。

 事実関係はこの説明通りか、それに近いものと思われます。不法な日本製品の横流しを日本政府が指摘し、韓国政府も渋々認めた。ただ、それだと「日本に負けた」ことになってしまうので、青瓦台(大統領府)はWTOに提訴することで「日本に一方的にやられてはいない」と国民にアピールしたのでしょう。

 担当省庁である産業通商資源部のサイトのフロントページには、2年間以上も「日本の輸出規制に対し政府がお知らせします」との見出しのコラムが載せられています(トップの写真参照)。

「輸出規制」にはわざわざ傍点が打ってあります。日本政府が使う「輸出管理の強化」との表現だと、韓国側の不正を暗に認めてしまうことになり、WTO提訴の名分もなくなるので「輸出規制」と強調しているのです。

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