神戸5人殺傷事件、2回目の鑑定は5分程度 「精神鑑定」は犯人の意のままになる?

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鑑定に答える義務がない

「1回目の起訴前鑑定では、“責任無能力”という結果が出たので、検察側は異例ですが、それに食い下がり、2人目の鑑定医が面会に行きましたが、5分ほど話して終わっています。あまり報道されていませんが、2人目による2回目以降の鑑定を、弁護人のアドバイスによって被告人は拒否して、結果的に、2人目はあいさつをした程度で、書類を見て“限定責任能力”という鑑定書を書いた。結果、裁判所は説得力があるという理由で、1人目の鑑定に従った。取り調べを拒否できるのと同じで、被告人には、鑑定医のいろいろな質問に答える義務はないと考えられています」

 さらに、園田氏はこんな点も指摘してくれる。

「08年の最高裁判決で、専門家の鑑定は、公正さに疑いがある、手続きに問題があるという場合以外、原則として尊重すべきだとされました。鑑定の中身に立ち入るのは学問的議論で難しいので、鑑定は尊重しましょうというわけです」

 被告は、自分の話を受け入れてくれる鑑定医だけを相手にすればいい、というのが実態のようなのだ。

 また、竹島被告を疑うのではないが、統合失調症の患者の話は、一般にどこまで信用できるのか。精神科医のSidow氏が語る。

「統合失調症の患者さんの症状や病態の評価、判断は、非常に難しい。目に見えない部分を評価することになるし、症状がよい時と悪い時とで、波や変動があるので、100%の正しい判断はできません。診察する精神科医によっても評価が変わることがあります」

 そして、こうも言う。

「統合失調症と診断された方に、当時のことを尋ねたとき、本当は記憶があるのに“覚えていなくて”と言われたり、実際に感じていたことと違うことを言われたり、症状を偽られたりしたとき、それを見抜くのは極めて難しい」

 Sidow医師によれば、統合失調症は慢性疾患なので、薬やストレスがない生活によって、症状をかなり抑えることができるものの、完治は困難だという。

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