「スシロー」「くら寿司」が“回らないサービス”を続々… 1000円超「すき焼き海鮮弁当」の狙い

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 回転寿司は、1958年に東大阪の寿司店が始めたとされる。以来60年以上にわたって親しまれてきた形態だが、最近、回転寿司チェーン各社は“回らない”サービスにも力を入れはじめた。マーケティングアナリストの渡辺広明氏がレポートする。

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 11月9日、スシローの事業発表会が東京・八重洲口店で行われた。今後のテイクアウトについての取り組みが主に明かされたこの場には、あきんどスシロー代表の堀江陽氏と並び、見慣れぬ男性がわれわれ報道陣の前に立った。代々木上原にあるフレンチレストラン「sio」オーナーシェフの鳥羽周作氏だ。

 発表会の目玉は、スシローとsioが組んだテイクアウト限定メニュー「すき焼き海鮮しゃり弁」。酢飯とすき焼き、そしてサーモンやイクラといった海鮮が同居する異色のコラボ食で、値段は1100円(税込み、以下同)。11月10日~12月14日、2022年1月4日からの期間限定で販売されているそうだ。

 コンビニなどで売られる弁当との最大の違いは「冷たいまま食べる」点にある。スシローが売るだけあって、ちらし寿司のようなイメージだ。海鮮はともかくすき焼きが冷たくて大丈夫なのか……と思われるかもしれないが、後日、実際に口にしてみると、酢飯の酸味が、冷えた肉の脂と絶妙にマッチし、なかなかおいしかった。醤油をかけずに食べることが推奨されている。

 発表会ではさらに、12月15日からコラボ第二弾として「すき焼き海鮮おせちらし」を販売するとの告知もあった。やはりテイクアウト限定で、「しゃり弁」と共に、他では食べられないメニューとして企画されたという。値段は1890円。このふたつの商品は、近年、スシローがテイクアウトに力を入れていることの象徴といえる。

 スシローは今年に入って、テイクアウト専門店「スシローTo Go」をつぎつぎとオープンさせている。20年秋に兵庫県・JR芦屋駅の改札横に実験店をはじめ、今年の2月に千葉・我孫子で正式に1号店を開店させた。当初の“21年中に15店舗”との目標はクリアし、現在までに東京、愛知、奈良、神奈川など全国に17店舗を構える(スシロー併設店含む)。従来のスシロー店舗でも持ち帰りは行っているが、「To Go」は近隣のスシロー店舗で握った寿司を店頭で販売するのが大きな特徴。駅中などの省スペースでも出店できるのが強みだ。ちなみにスシローは持ち帰り寿司の「京樽」を今年4月に傘下に収めている。こちらもテイクアウト注力に拍車がかかる要素になりそうだ。このほかデリバリーでも、ウーバーイーツや出前館など6社と組んで力を入れている。

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