ノイズキャンセリングでリスクが増加 電車内の凶悪犯罪から身を護るために必要なことは

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 コロナ禍が落ち着きはじめ通勤電車に揺られる機会も増えた。休日は紅葉狩りに出掛けてみようか。そんな、ようやく戻ってきた日常を脅かす事件が続いている。だが、恐れるばかりでは凶悪犯の思う壺。専門家が提唱する自衛策を、今日からさっそく実践してみよう。

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「京王線で火をつけた事件を真似しようと思った」

 そう供述した福岡県在住の職業不詳・三宅潔容疑者(69)は、11月8日に現住建造物等放火未遂の疑いで熊本県警に逮捕された。

 この日、三宅容疑者は熊本県内を走行中の九州新幹線「さくら401号」の車内で火災を起こそうと、床に液体をまきライターで火をつけた。幸いにも乗り合わせていたJR九州の社員が三宅容疑者を取り押さえ、駆け付けた車掌が消火作業を行い怪我人は出なかった。

 これにて一件落着と安心できないのは、三宅容疑者が動機として挙げたのが、10月31日に東京都内で発生した「京王線無差別刺傷事件」だったからだ。この事件で逮捕された服部恭太容疑者(24)は、70代の男性乗客を刺して重体に陥らせ、車内に放火して計17名の乗客を負傷させた。今年8月に発生した小田急線の無差別刺傷事件を参考にしたと話し、彼もまた模倣犯だったことを告白したのだ。

 いったい負の連鎖はどこまで続くのか。京王線の事件発生からわずか1週間で、九州新幹線以外の鉄道でも類似事件が次々に起きていたのだ。

 11月6日には東京メトロ東西線の車内で、50代の男が千枚通しで車内の乗客を脅す事件が発生。翌7日にはJR京浜東北線の車内に“刃物を振りまわしている男がいる”との通報を受けて警官が南浦和駅に出動。結局、犯人は見つからず愉快犯の仕業と思われるが、ダイヤが大幅に乱れた。

 これを機に、鉄道も空港のような手荷物検査を行う必要があるのではないか。そうした議論も起きているが、海外の鉄道事情に詳しいジャーナリストによれば、

「欧米の主要駅ではテロ対策でマシンガンを持った警官を配置し、乗客の手荷物の抜き打ち検査を行うなど警戒を強化しています。イギリスと欧州を結ぶ高速列車『ユーロスター』では、乗客全員の手荷物検査を実施。発車時刻の40分前には駅にいないと乗れません。インドや中東などテロが頻発する地域の鉄道も同様の仕組みを導入していますが、もっとも厳格なのは中国で、高速鉄道はもとより北京や上海などの地下鉄でもX線を使った機器で手荷物検査をしています」

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