ノイズキャンセリングでリスクが増加 電車内の凶悪犯罪から身を護るために必要なことは

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防犯対策を犠牲に成立している利便性

 日本はといえば、今年7月にようやく国土交通省が規則を改訂。鉄道事業者が乗客の手荷物を独自に検査できることになったが、鉄道会社は検査に前向きでない。

「諸外国と比べて日本の鉄道は分刻みの過密ダイヤで運行され、乗客数も圧倒的に多い中で手荷物検査を行うのは物理的に困難です」

 と指摘するのは、テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功研究センター長だ。

「たとえば首都圏の駅では少しでも電車の運行が止まれば、ホームや駅外にまで人が溢れて行列になります。現実問題、多くの駅は手荷物検査を行うスペースの余裕も乏しく、仮に朝の通勤時間帯で実施すれば、人の流れが滞って電車に乗るまで1時間以上かかるなんてことになりかねません」

 元埼玉県警捜査1課警部補で、一般社団法人スクールポリス理事の佐々木成三氏は、

「日本の電車の高い利便性は、裏を返せば手荷物検査などの防犯対策を犠牲にしているからこそ成立しているとも言えます。近頃、頻発している電車内での凶悪犯罪は、そのような弱点を突かれており、残念ながら日本の鉄道における“安全神話”は崩壊したと言っていいでしょう」

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