【体験記】コロナ禍で増加「国際ロマンス詐欺」にだまされてみた 「ロマンス詐欺あるある」に注意

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粘るジェニファー

 そうこうしているうちに、「警告」と題して、支払いを催促するメールが再び届く。この間にも私はジェニファーと毎日やり取りを続け、同じく「私の荷物が心配。どうなっているの?」と急かされていた。

 そろそろ身元を明かしたほうがいいと判断した私は、次のようなメールを、ジェニファーとジョンソンの双方に送った。

「荷物の搬送料を支払う前に伝えたいことがある。支払いを済ませても荷物が届かなかったという被害がこれまでに多数報告されている。私はそうした被害者に取材を重ねてきたジャーナリストだ。あなた方からフェイスブックを通じて接触があった段階で、国際ロマンス詐欺に関わる犯行グループの一味ではないかと疑っていた。以後、やり取りを続けるうちに、その疑いは確信に変わった」

 ジェニファーたちに「最後通告」を送った直後――。彼女から届いたメッセージには、もはや「ハニー!」という甘い言葉のかけらも見当たらなかった。

「あなたの言っていることが分からない。私が詐欺師とでも言いたいの?」

「あなたがそんな言葉を私に浴びせるなんて、信じられない」

 私は、それまでの取材に基づいて犯行グループの手口を詳細に説明し、ジェニファーが荷物を預けたとされる国際運送会社は「フェイク」だと指摘した。するとジェニファーは、

「私は彼らの一味ではない。私を詐欺師呼ばわりするな。あなたはバカだ!」

 と述べ、涙を流す小鳥のスタンプを送信してきた。念のために私は、米軍所属を示すIDを送るように伝えると、こう回答してきた。

「分かった。IDが届いたら荷物の送料を支払ってほしい。私が日本に到着したら返金するから」

 土俵際で粘るジェニファー。だが、「ニセ兵士」である彼女に本物のIDがあるはずもない。

「今日の任務が終わったらIDを送るわ」

 そう言ったきり、ジェニファーからの連絡はついに途絶えた。

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