京王線事件に居合わせたミュージシャンが語る惨状 密室から脱出する手立てとは

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「乗客たちが逃げまどう電車の中で、金髪の男が偉そうに脚を組みタバコを片手に座っていた。その時は逃げるのに必死で、後で犯人だと気づいたのです」

 そう話すのはミュージシャンの吉田涼さん(34)。10月31日に起きた京王線無差別刺傷放火事件に遭遇した乗客の一人だ。頻発する電車内の通り魔事件。密室から逃れる術はあるのか。

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 京王八王子駅で吉田さんが乗ったのは、午後7時29分発、新宿行の特急電車。列車は10両編成で、席に落ち着いた5号車に、殺人未遂容疑で逮捕された服部恭太容疑者(24)が歩いてきた。

「目をつぶってウトウトしていたのですが、振動と共に足音が聞こえ頭を上げると、皆が急いで避難していたので、つられるように席を立った。振り返ると“火が出た”“刃物を振り回している”なんて声が聞こえ、ヤバイと思ったところで電車が駅に停車したのです」

 服部容疑者は、3号車でたまたま隣に座っていた会社員男性(72)の右胸を刃物で刺し重傷を負わせたのち、後方車両へ移動、ライター用オイルをまいて火災を起こしたとされる。煙を吸った乗客など合わせて17名が負傷した。110番通報があったのは午後7時58分頃。乗客から異変を知らされた乗務員が、本来は通過する予定だった東京都調布市の国領駅に緊急停車させたのだ。

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