京王線事件に居合わせたミュージシャンが語る惨状 密室から脱出する手立てとは

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「自分より弱そうな人」

 社会部記者によれば、

「福岡市内の公営団地で育った服部容疑者は、警察に対し“今年6月に仕事先のコールセンターで失敗して死にたくなった。2人以上殺害すれば死刑になると思った。誰でもよかった”と身勝手な動機を口にしています。8月の『小田急線刺傷事件』を参考にしたとも話していて、歪んだ欲望を叶えるため、少なくとも9月末には上京してホテル暮らしをしながら機会を狙い、人出の多いハロウィンの混雑時間帯を走る停車駅の少ない特急電車を狙ったようです。車内が密室になる時間が長く、多くの人を殺傷できるよう計画的に犯行に及んだのは明らかです」

 ここ10年の間でみても電車乗客は度々無差別殺傷事件の標的になってきた。新幹線では車内やホームに警備員を置き警戒を強化したが、空港のような手荷物検査の実施は難しく、模倣犯の出現を許している。誰でも凶悪犯と遭遇する可能性があり、今回のように走行中の車内が現場となれば逃げようがない。

「無差別な凶行に見えても、犯人は自分より弱そうな人を無意識に狙ってくる。高齢者や女性、子供は対象にされやすいという意識を持っておくべきです」

 と話すのは、総合危機管理アドバイザーのおりえ氏。

「常に周囲を警戒して暮らすのは窮屈なので、いざという時の対処法を予め用意しておくことが大事です。鉄板入りのリュックや市販の防刃バッグを使ったり、100円ショップの小さいまな板を鞄に入れておくだけでも防御となる。今回は停車位置がホームドアとズレたことで扉が開かず、窓を開けて脱出した人が多くいました。電車内に装備されている『非常用ドアコック』を使えば、手動でドアを開けられ高齢者や車いすの人も避難できますが、今回のように走行中に使用すると停止位置が調整できなくなる。しっかり停車しているかどうか、対向電車に轢かれる可能性はないかなど、外の状況を確認した上で作動させてください」

週刊新潮 2021年11月11日号掲載

ワイド特集「もう一つの審判」より

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