なぜ君「小川淳也」は野党の“希望の星”になれるか 不安要素は「消費税」と「共産党」

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実家が「パーマ屋」の庶民派

 小川氏は東大法学部卒の元総務官僚という経歴の一方で、実家は「パーマ屋を経営する普通の家庭」だと強調しています。

「国民の悩みや不安を分かち合い、我が事として引き取れる政治は、庶民の間から根を生やすように生まれてくる政治勢力なんじゃないでしょうか!」

 街頭演説では対抗馬が政治家3世で地元メディアのオーナー一族であることを意識して、庶民の気持ちが分かるのは自分だと訴えかけます。

 小川氏がまだ当選1回の頃、ふと私も商売人の息子で実家は小売り酒屋だという話になりました。すると小川氏は嬉しそうにして「そういう生活の原点を持っていることが、政治を語る上で大事なんですよ」と熱く語っていました。

 当時から「誠実・実直・熱意」を全面に出した、将来を嘱望される議員だった小川氏。ただこのまま複雑な調整が迫られる政治の世界を渡って行けるのか、一抹の不安を感じたのも確かです。

北欧型社会を目指し消費税25%を提唱

 野党のリーダーを目指す上で重要なのが具体的な政策です。小川氏の政策最大の特徴は、今の社会制度を転換して高福祉・高負担社会を目指す姿勢です。

 小川氏はかねてから超高齢化社会を迎える日本を、みんなで負担を分かち合い幸福度が高い北欧型社会に変えていかないといけないと主張し、そのために消費税の増税が必要だと訴えていました。そして2014年、『日本改革原案 2050年 成熟国家への道』(光文社)という著書を上梓。最低保障年金の導入と保険料負担の引き下げを条件に、消費税率を最大25%に引き上げることを提唱しました。これによって日本の持続可能性と国民の将来にわたる安心を獲得するというものでした。

 ただ小川氏は2021年、この本に増補原稿を加えました。ここでは引き続き消費税増税にも触れている一方で、現在の格差拡大やコロナ禍においては消費税減税を検討すべきと書き足しています。

 私はそんな小川氏が、今回の総選挙で立憲民主党が掲げた「消費税率5%に引き下げ」「年収1千万以下の所得税の実質無税」「低所得者に年12万円支給」といった壮大な分配政策をどう捉えているのかとても気になりました。選挙前に尋ねてみると「コロナ禍とはいえあまりに大盤振る舞いで、有権者に本気じゃないと見られる。唐突な政策だ」と厳しい評価でした。もっとも、小川氏は私が訪れた街頭演説でもこうした党の公約にはまったく触れていませんでした。

 代表選挙では消費税を含む税制と分配を含む経済政策のあり方が必ず争点になるでしょう。ポストコロナに向けた対策をどうするのか。そして持論の高負担高福祉社会をいつからどの程度目指すのか。小川氏の政策の現実性・実現性が質されることになります。

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