鉄道イベントに大異変 無料だったのに次々有料化…10万円でも即日完売のファン心理

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 10月31日に投開票された衆議院議員選挙は、改選前からの議席数を減らしたものの自民党が単独で絶対安定多数を確保した。引き続き、岸田文雄首相が舵取りを担う。

 早急に着手しなければならないのが、コロナ禍によって疲弊した経済だ。特に、地方経済の落ち込みは激しく、それらの起爆剤とするためにGoToキャンペーンを早期に再開させようと躍起になっている。

 コロナ以前、訪日外国人観光客が右肩上がりをつづけた。地方経済は、それでなんとか命脈を保ってきた。地方のローカル線は沿線人口が激減しているため、沿線外から足を運ぶ観光客に期待を寄せる。そのため、鉄道会社と連携した動きも出てきた。

 しかし、経営が苦しくなっているのは鉄道会社も同じだ。コロナ禍は旅行・出張といった地方への需要が消失しただけではなく、テレワークによって通勤・通学といった日々の需要も減少させた。ローカル線ほどの危機ではなくても、JR各社や大手私鉄も総じて減収となっている。

 そうした中、鉄道各社は背に腹はかえられないとばかりに新機軸を打ち出している。その新機軸とは、鉄道イベントの有料化だ。

一人10万円のイベント

 JR東日本横浜支社が9月18日に開催した「発見!車両センターの仕事をのぞいてみよう!in 鎌倉車両センター」は参加料金が親子1組で1万3500円。9月25日に開催された「相模線新旧車両撮影会in国府津車両センター」は、1名8000円。それなりの参加料金を設定しているが、各イベントとも即時に完売した。

 さらに驚くのは、JR高崎支社が11月1日から4日までの4日間で開催した「EF64形電気機関車37号機の運転台操作体験&撮影会イベント」だ。同イベントの参加費は一人10万円。ちょっとした海外旅行よりも高額に設定されている。

「今回のイベントは、普段は入れない場所へご案内いたします。コロナ禍という事情もありますが、参加者にプレミアムな体験をしていただくために人数を絞りました」と説明するのはJR高崎支社総務部広報の担当者だ。

 鉄道に詳しくなければ、EF64形電気機関車37号機と言われてもなんのことだがわからない。広報担当者は「37号機はEF64形電気機関車(0番代)で唯一現役として活躍している、とても貴重な車両です」と言う。そんな貴重な電気機関車の運転台に座ったり、記念撮影する機会はそうそうない。

 とはいえ、そうした説明を受けても、10万円を払うほどの価値があるのだろうか? との疑問が湧く。

「同イベントは今年が初めての実施になりますが、実施の検討が始まったのは秋口からです。価格に関しては、ほかの有料イベントを参考に価格を決めました。実施期間は4日間で16名。それが即日に完売するなど、予想を上回る反響をいただいています。今後、同種のイベントを実施するかどうかは検討中です」(同)

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