鉄道イベントに大異変 無料だったのに次々有料化…10万円でも即日完売のファン心理

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次世代への懸念も

 当初、鉄道イベントを有料化するという潮流は、コロナ禍という非常事態ゆえの人数制限や減収の補填策という奇策だった。しかし、鉄道事業者が想定していたものとは違った効果を発揮しているのだ。

 鉄道イベントの有料化は、15年前だったら考えられない話だった。それだけ時代が変わり、鉄道ファンを取り巻く環境や鉄道ファンそのものの意識にも変化が生じた、ということが言えるだろう。

 ただ、鉄道イベントの有料化には、気をつけなければならない点もある。鉄道が好きな中高生は大人のような資金力はなく、おこづかいをやりくりして友人などと鉄道に没頭している。中高生は有料イベントに参加できる資金的な余裕がない。

 鉄道イベントに参加できなくなった中高生が取り残されて、鉄道そのものへの興味を失う可能性は十分に考えられる。中高生が鉄道への興味を失えば、未来の鉄道業界を支える人材を失うことになる。それは鉄道の発展にも影響を及ぼすだろう。有料イベントが一般化することは、次世代育成という面で空白を生んでしまう可能性をはらむ。

 これは、単に鉄道趣味という問題ではない。鉄道分野における技術の向上や継承という意味からも重要な問題でもある。

小川裕夫/フリーランスライター

デイリー新潮取材班編集

2021年11月6日掲載

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