情緒不安定の妻にフライパンで殴られ…不倫がバレ、子どもに会えない夫が語る“泥仕合”

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「不倫をしているのは知っています」

 ところが1年と少したったとき、帰宅したら妻も子どももいなかった。リビングの明かりをつけると、妻がいつも座っているソファがない。テーブルの上に置き手紙があった。

「不倫をしているのは知っています。いつやめるのかずっと待っていた。出ていきます」

 それだけしか書いてなかった。あわてて妻の携帯を鳴らしたが出ない。どこにいるのか連絡してほしい、連絡がなければ110番するとメッセージを送った。すると〈あとは弁護士に任せますから〉とだけ返ってきた。

 なぜバレたのか。圭祐さんは考え込んだ。のちのち弁護士との話し合いでわかるのだが、妻は彼の携帯にGPSを入れていたのだ。しかもそれは彼がわからないような形で仕込まれていた。妻が家を出ていくまでの数ヶ月間、彼は監視されていたのである。

「その後、家庭裁判所から連絡がきて、妻が離婚調停を申し立てている、と。そこから調停地獄が始まりました。その間、とりあえず婚姻費用を請求されました。別居中の生活費ですね。妻はパートで働いていて僕の被扶養者になっているので、年収が低い。結局、毎月20万円近い婚姻費用が算出されたんです。家のローンもあるのでそこまでは払えないと言ったら、『子どもさんに普通の生活をさせてあげてください』と言われて。サラリーマンだから額面はそこそこ高くても、実際に使えるお金はそんなにないんですよ」

 それでも婚姻費用は算出表に基づいて、あっけなく決定された。個々の事情はそれほど勘案されないようだ。

「妻は離婚を求めている。僕はできればやり直したいと思っていた。まずそこで意見が合わない。調停決裂、裁判離婚も考えましたが、離婚してくれれば子どもには会わせると妻は言う。しかたがないので離婚を受け入れるしかないかと思い始めたところで、コロナ禍になり、調停が一時期、まったくおこなわれなくなったんです」

タカコさんとも疎遠に

 それでも婚姻費用は毎月かかる。同情したタカコさんが、ときおり食事をごちそうしてくれたが、彼女の家に行くときも彼は誰かに見られているのではないかとドキドキしていたという。

「そのうち、タカコさんに妻から慰謝料請求が行きました。職場にバレたら大変ということで、お互いに恋愛感情が一気に吹き飛んでしまった。もともとその程度の恋愛だったんでしょうね。いつの間にか会わなくなりました」

 仕事もリモートワークが推奨されたものの、彼は週に2回ほどは出社し続けた。そうでなければできない仕事が多かったからだが、たとえ在宅でできたとしても家にひとりいると気が滅入ってたまらなかった。

 その後、再度、調停が始まったわけだが、コロナの影響もあってなかなか事態は進んでいない。

「僕自身は弁護士をつけなかったんですが、そんなとき学生時代の友人が『それ、わざと長引かせているんじゃないか』と言ってくれた。妻側は婚姻費用目当てに引き延ばしにかかっている。確かにそうだ、と思いました。調停が決裂して裁判で争ったほうがいいかもしれないと思い、友人に弁護士を紹介してもらったんです」

 今年になってから裁判を起こしたが、離婚で合意しているものの、親権や財産分与では歩み寄りが見られない状態だ。

「いろいろ考えて、僕が親権をとろうと思ったんです。不貞を働いた身でと言われていますが、妻の暴力や精神的不安定を考えたら、僕のほうがマシなはず。弁護士さんががんばってくれていますが、婚姻制度ってとにかく妻側に有利にできているんですよね。裁判中ですが、子どもたちとの面会を要求しつづけ、先日、ようやく会えました。ごめんな、と泣きながら謝るしかなかった。子どもたちも泣いて。『もしおかあさんにぶたれたりしたら、こっそりおとうさんに言うんだよ』と言い聞かせました。子どもたちはけっこう僕の母に懐いていたので、おばあちゃんに電話してもいいんだからと。別居して約2年、今年11歳と10歳の子がすっかり大きくなっていました。これからはもう少し会うことができそうです」

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