「V6解散」、世界中の誰もたどり着いたことのないような場所に到達した6人

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長野、井ノ原の活動

 長野博は2008年に初のグルメ本を出版。調理師と野菜マイスターの資格を持ち、グルメ愛好家として、通常のバラエティ番組出演はもちろんのこと、「アメトーーク!」にも「明太子芸人」「ちくわ大好き芸人」のメンバーとして登場している。

 2005年頃から国分太一とダブルMCを務める「R30」など司会業が増えていった井ノ原快彦は、2010年から「あさイチ」MCとしてNHKの朝の顔に。井ノ原のことをNHKのアナウンサーだと思っていた高齢の視聴者も多かったという。

 彼らは、テレビに出演するにしても、それぞれがアイドル的な出方ではない、独自の切り口をもった出演の仕方をするようになっていったのだ。“若手アイドル”としてテレビに出られる時期が終わっても、彼らは自ら溜めた実力で、また違う形でテレビに欲されたのである。

「学校へ行こう!」が「SMAP×SMAP」のように高視聴率を取り続けていれば、もしかしたらV6にはTVスターとしての道も拓かれたのかもしれない。

 しかし6人のテレビの外でも溢れ出る才能は、そうはさせなかった。「学校へ行こう!」の視聴率が低迷し、終了するのに前後して、6人はそれぞれの道を見つける。むしろ、今振り返れば、終了を見越すかのようなタイミングで、それぞれに向き合う場所を見つけていったようにも思える。

脱退者もいなかったこと

 そして、このロケなども必要な番組の終了に伴い、空いた時間をそれぞれの場所での研鑽を積むのに使うようになり、6人が6様の華を咲かせるに至ったのだ。

“職人”は消費されるものを作らない。

 キー局のゴールデンタイムの番組という消費の象徴のような場所から離れたことで、彼らは職人となり、映画や演劇といった後世にも残る作品作りに邁進していった。また、安易に消費されない立ち位置を自ら作り上げていった。

 もちろん、個人活動だけではない。看板となる番組は終了しても、ライブなどで6人が集結すると職人グループ・V6としての熟練した技を見せてくれた。

「同じ方向は見てるけど、乗ってるレールはそれぞれ違う。そういう6本のレールが連なっている感じ」と坂本は言う(※)。

 それぞれのレールが磨かれれば磨かれるほど、V6として交差した瞬間の強度は強くなる。そんな、自分たちにとってのグループ活動と個人活動の理想の形を、模索しながら作っていったのがV6なのだろう。

 そしてそのバランスに個々の意志が尊重され、無理がなかったからこそ、脱退者もいなかったのではないだろうか。

 それこそ、現在公開中の映画「燃えよ剣」で岡田准一が演じる土方歳三が新選組という集団を強い法度を作って引き締めていたように、チームをまとめるにはルールや強制力が効果を発揮する。しかしそれだけでは長くは続かない。

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