【W杯予選】豪州戦勝利でも悪い流れは変わっていない…思い出すべき「加茂監督更迭」の教訓

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長友の攻撃参加は是か非か?

 最終ラインと前線が間延びすれば選手間の距離も遠くなる。その結果、バイタルエリアやミドルサードでルーズボールを拾われる嫌な展開になりかけた。

 後半7分には吉田のGK権田修一へのバックパスが弱くなり、サウジアラビア戦の再現かと肝を冷やしたものだ。

 そんな状況を変えたのが後半10分の守田のプレーだった。左サイドをドリブルで攻め上がり、複数の選手に囲まれながらも粘ってFKを獲得した。

 このワンシーンを境に、FKから酒井宏樹のヘディングシュートや伊東純也のドリブル突破から南野拓実がペナルティエリア内で倒されて、あわやPKかというプレーなど日本はオーストラリアに傾きかけた流れを引き戻した。

 もしも守田の反則から失点していなければ、この試合のMVPは彼を推薦しただろう。

 その失点シーンだが、長友佑都の攻撃参加は「諸刃の剣」でもある。FKにつながったのは右MFマーティン・ボイルのドリブル突破がきっかけで、長友が攻撃参加した裏のスペースを狙われた。

 ボイルは前半42分にもシンプルなタテパスによるショートカウンターで、アダム・タガートの右ポスト直撃の決定機を演出した。

大迫の不調

 オマーン戦での失点も含め、長友の攻撃参加は日本の武器ではあるが、CBのスライドやボランチが最終ラインに落ちるなどのカバーリングに関して再考の余地があるだろう。

 森保監督は後半16分、大迫勇也に変えて古橋亨梧を1トップに送り出した。前線からの守備の強化という意味合いもあったと推測される。

 大迫は、前線でボールを収める巧さは相変わらずだが、このオーストラリア戦も含めて決定機を決めきれずにいる。

 相手GKの好セーブに阻まれたのは仕方ないにしても、シュートがゴール枠を捕らえきれないのは感覚が戻っていないのか。今後も1トップとしてスタメン起用するのかどうか、ここらあたりは指揮官に冷静な判断を求めたい。

 失点の場面はアイディン・フルスティッチのシュートを褒めるしかない。壁に入った身長170センチの古橋の頭上を意図的に狙ったのかどうかは分からないが、GK権田にとって防ぎようのない鮮やかなFKだった。

 そして感じたのは、森保監督がスタメンを変更し、絶対的エースと信頼してきた大迫を交代させるなど、これまでにない積極的な采配を見せた。

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