【W杯予選】豪州戦勝利でも悪い流れは変わっていない…思い出すべき「加茂監督更迭」の教訓

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加茂監督の更迭

 やれることはやった。にもかかわらず失点した。オマーン戦やサウジアラビア戦から続く、日本の「悪い流れ」は変わっていないのかという不安である。

 この「悪い流れ」で思い出すのが97年10月、フランスW杯アジア最終予選で更迭された加茂周監督だ。

 4試合を戦って1勝1敗2分けは決して悪い成績ではない。2分けはいずれも敵地でのUAE戦とカザフスタン戦なので、ホームで挽回できる可能性はあった。

 しかしカザフスタン戦後、チームに帯同していた長沼健会長、川淵三郎副会長ら首脳陣は「流れが悪い」として加茂監督の更迭と、続くアウェーのウズベキスタン戦はコーチだった岡田武史氏に指揮を委ねる決定をした。

 首脳陣がチームに帯同してつぶさに見ていたからできた決断であり、岡田監督はホームでUAEと引き分けてしまうなど苦戦したが(試合後にサポーターが投石など暴徒化したのは初めてだった)、イランとの延長戦を制して日本を初のW杯出場に導いた。

 11月のアウェー2連戦、いくらアウェーとはいえベトナムに不覚を取るとは思えないが、森保ジャパンは9月と10月の初戦をいずれも落としている。

敗戦の準備も必要

 オマーン戦もサウジアラビア戦も、そしてベトナム戦も木曜開催だ。国内組も海外組も土日に試合をしてからの移動はこれまでと変わりがない。

 森保監督は選手のコンディションの見極めがカギになるだろう。そして日本サッカー協会は最悪の事態も想定しておくべきではないだろうか。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月15日掲載

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