「おかえりモネ」「青天を衝け」、秋の新作も異色の作品 NHKのドラマが攻めている理由

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 NHKのドラマが攻めている。連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~土曜午前8時)はリアルタイム視聴率の獲得を第一目標とせず、大河ドラマ「青天を衝け」(日曜午後8時)は幕末・維新を描きながら、坂本竜馬も勝海舟も出て来ない。秋ドラマにも野心作が並んでいる。何が起きているのか?

 NHKのドラマが変革期にある。そのサインは5月に出ていた。

「おかえりモネ」の初回の世帯視聴率がビデオリサーチ調べ(関東地区)で19.2%だったことが分かった後の同19日、NHKの正籬聡総局長が定例会見で、もう朝ドラはリアルタイム視聴率だけで評価しないと宣言した。

「最近はタイムシフトでご覧になられる方、NHKプラスなど見逃し配信で見ていただく方も増えている。いろんな視聴のあり方があると思うので、数字そのものだけでなく、タイムシフトで見られてる方や、そうした方々の反響も聞きながら、より良いドラマにしていきたい」(正籬聡総局長)

 9月に入り、この言葉が建前ではなかったことが分かる。「モネ」のリアルタイム視聴率は世帯の全話平均で16.5%と朝ドラとしてはやや低いが、同22日の定例会見で再び正籬総局長が「『モネ』の熱量や見られ方には深さがあると感じている」と高く評価した。昨年4月に始まったNHKプラスで過去最高の配信数を記録していることも付け加えた。

 現場の制作陣もリアルタイム視聴してもらうことに拘らないと公言。こんなことは朝ドラ史上、初めてだった。

伝統的な朝ドラと違う「モネ」

 道理で「モネ」は伝統的な朝ドラとは違う。以前は時報代わりの役割もはたさなくてはならないから、家事をしながら見ても分かる作品が目指されていた。

 だが、「モネ」は伏線が山ほどある一方、毎回のように視聴者は想像力を要求されるから、ながら視聴は難しい。「この登場人物は何を考えているか」などを視聴者が想像しなくてはならないのである。

 ストーリーも伝統的な朝ドラとは異質。オーソドックスなヒロインはポジティブで、苦労を乗り越えて前に進んでいったが、モネこと永浦百音(清原果耶、19)は等身大の若者と同じように思い悩んだ。前に進むというより、周囲にいる人たちと繋がっていった。つまりは横に展開した。

 11月1日に始まる次期朝ドラ「カムカムエヴリバディ」もリアルタイム視聴率は二の次になるのは確実。なぜかというと、この作品は朝ドラで初めて3人の女性が順番にヒロインになる。リアルタイム視聴率狙いなら、そんな面倒で複雑な展開にはしないはず。

 登場する順番は上白石萌音(23)、深津絵里(48)、川栄李奈(26)。それぞれ祖母、母、娘という設定である。これまでの朝ドラなら、高齢の女優と中年の女優、若手女優を一度に登場させただろう。朝ドラは新時代に入ったと見ていい。

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