「ポスト原」は原しかいない…巨人がまだ阿部政権に慎重な理由【柴田勲のセブンアイズ】

  • ブックマーク

Advertisement

惨状にファンは泣いている

 巨人、ひどいことになってしまった。惨状にファンは泣いているよ。

 5日からのヤクルト3連戦(神宮)、逆転優勝には3連勝するしかない。前回の今コラムでこう記し、期待して観戦したが、なんのことはない、3連敗だ。続く広島戦(マツダ)も3連敗、ファンにすれば悪夢の1週間だったろう。今季ワーストタイの6連敗、最短で12日にも3連覇の可能性が完全に消滅する。

 最近よく、巨人ファンに声を掛けられる。

「(巨人)なんとかなりませんかね? ゲームを観ていても面白くない。原(辰徳)監督はクビですかね?」

 答えようがない。「エースが不振で4番が打てないのだから仕方ない…」と話すのだが、実際、今の巨人に特効薬はない。ここ6試合連続2得点以下だ。貧打は深刻、25イニング連続でタイムリーが出ていない。

 これはもう、クリーンアップが打てていないということだ。4番・岡本和真の不振が打線全体に広がってしまった。打率は.285くらいあったのに、いまは.266か。打点は106で止まっている。やはり中心選手がしっかりしないとダメだ。

 坂本勇人が頑張っているが限界があるし、丸佳浩にしても相手投手にボールを長く持たれるなど研究と対策が進んでいる。

阪神3連戦から歯車が狂った

 巨人のチーム打率は.244でリーグ5位だ。先発投手が5、6回くらいまでそこそこ抑えていても、つながらない打線に期待はできない。悪い方へ悪い方へと行ってしまう。

 いまの巨人、「覇気がない」と言われるけど負けているからそう見えるのだろうし、事実そうなのだろう。手の施しようがない。

 これまた一度、今コラムで指摘したが、9月3日からの阪神3連戦(甲子園)から歯車が狂った。首位に立っていたが、3日の試合は3点をリードしながら逆転負け、翌4日はチアゴ・ビエイラが大山悠輔にサヨナラの2ランを浴びた。今季初のサヨナラ負けで首位から陥落した。

 そして5日、序盤で6点をリードしながら好投していたC.C.メルセデスを5回限りで引っ込め、また坂本を6回の守備からベンチに下げた。「いい時は動くな」の鉄則を破り動いて相手に、しかもライバルに流れを渡した。結果はご存じの通り、阪神の猛追に遭って引き分けとなった。

 滅多にない試合だった。連敗して引き分けたこの試合が今季のターニングポイントになってしまった。

 勝負事は怖い。采配ミスで相手を活気づかせてしまい、また自分の手元にあった流れを引き戻すのは容易なことではない。9月3日から30日まで5勝14敗4分、勝負の9月に完全に失速した。10月も同様だ。

次ページ:バトンタッチには慎重

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。