高市支持者は陰謀論の影響を受けやすい? メディアを悩ますフェイクニュースへの対応策

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誰もが低品質なニュースを粗製濫造できる

 インターネット、SNS発の陰謀論、フェイクニュースの歯止めという意味においてより重要になってくるのは、メンツァーたちが主張するように、「低品質の情報の作成とシェアのハードルをもっと高くすることだ。インターネット業界大手、SNS各社がユーザー登録や更新に少額の料金を課したり、投稿時にワンクリックで発信できないよう警告を表示するといったコストをかけさせたりするのも一案だろう。

 2010年代後半に世界中で起きた政治的な混乱、さらに新型コロナ禍は「誰もが自由に情報発信をできること」が招いた危機でもあった。インターネットの普及で誰もが自由に情報を発信できることは素晴らしくもあったが、それは誰もが低品質なニュースを粗製濫造できることとイコールでもあった。

 9月29日にYouTubeは新型コロナに限らず、あらゆる反ワクチン論のチャンネルを停止するという発表に踏み切った。YouTube以外の大手インターネット、SNS各社がどうでるかが注目されてくるだろう。

 衆院選、冬にかけて第6波が予想される新型コロナウイルス……とフェイクニュース、陰謀論の元ネタには事欠かない重要ニュースがしばらく続く。陰謀論がゼロになることは現実的な目標ではないが、少なくとも今のような形で影響を持つことは好ましくない。私はインターネットやSNSが「良いニュース」が報われる形で流通してほしいと思っているが、しばらくはそんな未来は来そうにもない。

石戸諭(いしど・さとる)
1984年、東京都生まれ。2006年、立命館大学法学部卒業後、毎日新聞社に入社。その後、BuzzFeed Japanを経て独立。現在、「文芸春秋」「サンデー毎日」「ニューズウィーク日本版」「日経サイエンス」等に執筆。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象』(小学館)。近著『ニュースの未来』(光文社新書)が好評発売中。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月12日掲載

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