細あご、ペチャ鼻の人は要注意の「睡眠時無呼吸症候群」 健常者の約7倍の確率で交通事故

ライフ

2021年10月11日

  • ブックマーク

高血圧、心不全、不整脈のリスクも

 そしてこの病の恐ろしさはこれだけではないという。

「眠っている間、無呼吸、低呼吸で酸欠状態に陥っている。そうなれば、心臓に負担を強いることになりますから、循環器系の疾患のリスクが高まるのです」

 と述べるのは、筑波記念病院の末松義弘・副院長。睡眠呼吸センター長も兼務し、『その睡眠が寿命を縮める』の著書がある。

「例えば、高血圧。普通、睡眠中は副交感神経が優位になり血圧は下がりますが、SASの患者さんは低酸素状態に陥り、中途覚醒が起こるため、交感神経が活発になり心拍が増加。血圧上昇に繋がります。また、循環する血液量が増えると心臓に負担がかかり、心機能の低下、いわゆる心不全を招きます。更には、低酸素状態によって心筋が影響を受け、心臓のポンプのリズムが崩れた状態、つまり不整脈も引き起こすのです」

 不整脈は脳梗塞や脳出血などのリスクも上げる。

 SAS患者が高血圧症となる確率は、健常者の2倍。心不全で2倍、不整脈で2~4倍との調査結果がある。

 また、中等症以上のSAS患者が何も対策を取らなかった場合、治療した場合と比べ、8年後の生存率は63%だったという恐るべきデータも。健常者と比べ、重症患者の死亡リスクは4倍ともいわれる。

「睡眠時無呼吸症候群は万病の元」といわれる所以だ。

「私は四半世紀に亘り、心臓血管外科医として患者を診てきました。その中で、心臓の手術をしても、心不全などの再発を繰り返す患者さんが少なからずいる。このような方の多くは、心臓の精密検査を行っても、異常が認められず、長い間原因がわかりませんでしたが、さまざまな検査を行った結果、その原因がSASであることを突き止めたのです」

 問題は、これが希少な病ではないことである。

 前出の白濱理事長が言う。

「国内における潜在患者数は、400万人から500万人とされています。その予備軍まで含めればさらに数は増える。しかし、この病の治療を受けているのは約40万人に過ぎない。9割は放置されてしまっているのです」

 とりわけ一人暮らしであると睡眠中の異常に気付く術がないため、自覚が困難だ。自分や家族も「潜在患者」や予備軍である可能性は十分にあるのである。

次ページ:細あご、ペチャ鼻は要注意

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]