「OKストア」はなぜ「関西スーパー」買収に動いたか 現経営陣は知らない創業者同士の深い縁

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 関西圏で“関スー”あるいは“関スパ”で親しまれる老舗スーパーマーケット「関西スーパーマーケット」を巡る動きがおかしなことになっている。関西スーパーの買収に動いた関東のOKストア(株式会社オーケー)に対し、同社は同じ関西圏のスーパー2社との経営統合を提案したエイチ・ツー・オーリテイリング(H2Oリテイリング)を選んだ。先日、その理由を公表したところ、これがツッコミどころ満載で、OKストアから質問状が届く事態に発展しているのだ。

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 そもそもOKストアが関西スーパーに対し、TOB(株式公開買い付け)を打診したのは6月9日のことだった。提示価格は1株あたり2250円で、前日の終値のおよそ2・3倍に当たる破格の値段だった

 これに対して関西スーパーは、8月31日、阪急百貨店や阪神百貨店などを傘下に置くH2Oリテイリングのスーパー「イズミヤ」「阪急オアシス」との経営統合を選んだことを発表した。

 その3日後の9月3日、OKストアは改めて、関西スーパーにTOB実施の考えを明らかにした。TOBと聞くと、嫌がる関西スーパーに対してOKストアが無理筋を通そうとしていように映るが、そうではないというのは業界通だ。

「実は、もともと関西スーパーとOKストアの創業者同士は非常に仲が良かったんです。1950年代に創業した関西スーパーは日本のスーパーマーケットのハシリと言っていいほどで、伊丹十三監督の映画『スーパーの女』のモデルとなったことでも知られています。昔、その老舗に頼み込んで、社員研修をさせてもらったのがOKストアなんです。関西スーパーの創業者である北野祐次氏(故人)には、OKの店舗で指導してもらったこともあり、今でも新鮮なものを出すオペレーションは関西スーパーに教わったことがベースになっているそうです」

関西スーパーの警戒

 OKストアにとって関西スーパーは、いわば恩人とも言える存在だという。

「2013年に北野氏が亡くなり、創業家が経営から離れると、両社の人的交流はなくなっていったそうです。ところが、15~16年に関西スーパーが業績不振に陥ると、OKが動いたんです」

 16年9月、OKストアの関西スーパー株の大量保有が明らかとなった。

「OKとしては恩人である関西スーパーに何かできることはないかと考え、陰で支えようとしたそうです。もっとも、OKの株大量保有に、過去の経緯を知らない関西スーパーの経営陣は警戒したようです。同社はH2Oに第三者割当増資を持ちかけ、筆頭株主になってもらった。それでもOKは以後5年間、買い増しすることもなく、安定株主として持ち続けたんです」

 なぜ今になってTOBに乗り出したのだろう。

「コロナや電子商取引などの大きな環境変化があり、関東圏だけのOKとしては、今後の成長を考えると、人口集積度合いの高い関西エリアへの進出を考えたわけです。もちろん恩のある関西スーパーに対して競合するのではなく、一緒にできることがあればと考え、株取得の提案をしたんだそうです」

 それが今年6月の1株2250円で買い付けるという提案だった。

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